カンピーナス

カンピーナス：ブラジル南東部の躍進都市

カンピーナス（Campinas）は、ブラジル南東部のサンパウロ州に位置する都市です。サンパウロ市から約100km内陸に位置し、州内ではサンパウロに次ぐ規模を誇ります。2020年の人口は約121万人、周辺地域を含めると約360万人が暮らす大都市圏を形成しています。

草原から都市へ：カンピーナスの変遷

カンピーナスとは、ポルトガル語で「草原」を意味します。その名の通り、かつては広大な草原が広がる農業地域でしたが、人口増加とともに市街地が拡大しました。

奥地開拓の拠点からコーヒー景気へ

カンピーナスの歴史は、ブラジルの奥地開拓者たちの基地として始まった18世紀に遡ります。当初は「カンピーナス・ヂ・マト・グロッソ」と呼ばれていました。肥沃な土地に恵まれ、サトウキビやコーヒー栽培が盛んに行われました。

19世紀後半にはコーヒーの需要が急増し、カンピーナスは空前のコーヒー景気に沸きました。1872年にはパウリスタ鉄道会社が設立され、ブラジル有数の大都市へと発展を遂げました。しかし、20世紀に入ると黄熱病が流行し、人口の3割を失うという大きな打撃を受けました。それでもカンピーナスは劇的な復興を遂げ、「不死鳥の町」として知られるようになりました。

工業都市、そしてハイテク産業へ

1930年代にコーヒー価格が暴落すると、カンピーナスは工業都市へと転換しました。工業の発展は労働力需要を増加させ、イタリアなどからの移民が流入しました。1970年代から1980年代にかけてはブラジル国内からの人口流入も相次ぎ、カンピーナスは大きく発展しました。その発展ぶりは、サンパウロに対して「西方の姫君」と形容されるほどでした。

1990年代には、IT関連のハイテク産業が集中し、多くの教育・研究機関が設立されました。しかし、1998年以降は工場の移転が進み、現在は商業が主産業となっています。

経済、教育、交通の中心地

カンピーナスは、織物、機械、農業機器などの工業製品を生産する工業都市であると同時に、教育機関が集まる学術都市でもあります。カンピーナス州立大学やカンピーナス・カトリック大学といった名門大学は、国内外から多くの学生を集めています。

交通の要所としても重要な役割を担っており、ヴィラコッポス国際空港は、サンパウロ市内のコンゴーニャス空港との間に航空便が就航しています。また、市内には数多くのバスターミナルが存在し、サンパウロとブラジリアを結ぶ幹線道路も通っています。

多様な文化と国際交流

サッカーも盛んで、AAポンチ・プレッタとグアラニFCという2つのサッカークラブがカンピーナスを本拠地として活動しています。

また、カンピーナスは多くの都市と姉妹都市提携を結び、国際交流を積極的に行っています。サンディエゴ（アメリカ）、コルドバ（アルゼンチン）、トリノ（イタリア）、岐阜市（日本）などが姉妹都市として知られています。

カンピーナスは、農業、工業、ハイテク産業、交通、教育、文化など、多様な側面を持つ魅力的な都市です。ブラジルを訪れる際には、ぜひカンピーナスにも足を運んでみてください。

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