ブラジリア

ブラジリア：ブラジルの計画都市の魅力

ブラジリアは、ブラジルの首都かつ独特の計画都市として知られており、1950年代から1960年代にかけて建設されました。ブラジル中部の高原地帯に位置し、標高約1,100メートルから広がるこの都市は、圧倒的な美しさと機能性を兼ね備えています。

計画都市としての特色

ブラジリアは、ブラジルの建築家ルシオ・コスタの設計に基づいて築かれ、都市の形状が飛行機によく似ていることが特徴です。国会議事堂や連邦最高裁判所などの政府機関は、飛行機の機首部分に位置しており、翼の部分には高層住宅や外交機関が設置されています。この都市の建物は、モダニズムの流れを反映した未来的なデザインが施されており、ブラジルの著名な建築家オスカー・ニーマイヤーによって設計されたものも多数あります。

世界遺産としての認知

1987年には、ブラジリアが世界遺産として登録されました。この決定は、近代的な都市でありながら建設からわずか40年以内での登録という点で特に意義深いものとなりました。このことから、20世紀の建築に対する評価が高まる契機にもなりました。

気候と環境

ブラジリアは、赤道と南回帰線の内側に位置するため、熱帯気候に該当しますが、その標高のために気候は意外と穏やかです。年間を通じて快適な気温が続くため、観光客にも人気のある都市となっています。

歴史的背景

本来、ブラジルの人々はリオデジャネイロやサンパウロといった海岸部に集まっていましたが、1956年、ジュセリーノ・クビチェック大統領が新たな首都を内陸に建設することを決断しました。これにより、ブラジル全体の発展が促進されると期待され、新たな都市の設計が進められました。

工事はスピーディに進められ、1960年には都市が完成し、正式に供用が開始されました。初めてモダニズムの理念を具現化した都市の一つとして、ブラジリアはその存在感を確立しました。

交通と人口

ブラジリアは、現在約309万人が住む大都市に成長しました。交通手段は自動車が中心で、バスやタクシーも利用されていますが、街の計画自体が自動車移動を前提とするため、実際の市民生活には若干の不便さが残ります。公共交通機関の整備も徐々に進行しています。

経済とその課題

一方、新都市の建設には多額の費用がかかり、これが国の経済に悪影響を及ぼす要因となりました。特に1970年代から80年代には高インフレが問題視され、経済不振の一因として指摘されています。

また、ブラジリアは近代都市である一方、計画的に発展した内陸部の周囲には、無秩序に拡大した衛星都市が存在し、格差が発生しています。これは都市全体の発展に影響を及ぼし、一定の問題を引き起こしています。

結論

ブラジリアは、その独特のデザインや歴史的背景から、計画都市としての成功と失敗を象徴する場所となっています。都市の構造や交通の問題は残るものの、モダニズム建築の宝庫として、観光客や建築家たちの関心を集め続けています。そして、ブラジリアは今後もブラジルの発展を語る重要な舞台であることに変わりはありません。

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