カンペオン・デ・カンペオーネス

カンペオン・デ・カンペオーネス：メキシコのサッカースーパーカップ

カンペオン・デ・カンペオーネス（Campeón de Campeones）は、メキシコサッカー界において、年間で最も優れたクラブを決定する権威ある大会として位置づけられています。この大会は一般的に「スーパーカップ」と称されており、主要な国内タイトルの優勝チーム同士が激突します。本大会を制したクラブは、メジャーリーグサッカー（MLS）のチャンピオンと対戦する国際大会、「カンペオーネスカップ」への出場権を獲得することができます。

大会の歴史：変遷を辿る

本大会の歴史は古く、1942年にその第一歩を踏み出しました。設立当初は、メキシコ国内のトップリーグであるプリメーラ・ディビシオン（現リーガMX）の年間優勝クラブと、国内カップ戦であるコパ・メヒコ（現コパMX）の優勝クラブが対戦する形式が採用されていました。この時代の大会は、1995年まで原則として1試合制で行われ、メキシコの首都シウダ・デ・メヒコにあるスタジアムが主な開催地でした。初代の優勝クラブには、当時のマヌエル・アビラ・カマーチョ大統領から直接トロフィーが贈呈されるなど、設立当初からその重要性が強調されていました。

カンペオニシモ：絶対王者の称号

特筆すべきは、リーグとカップの両タイトルを同一シーズンに制覇したクラブには、「カンペオニシモ」（Campeonísimo、絶対王者）という特別な称号が与えられ、カンペオン・デ・カンペオーネスのトロフィーが自動的に授与されたことです。これは、そのシーズンの国内タイトルを全て独占したことに対する最大の賛辞であり、対戦相手を必要としない異例の措置でした。これまでにカンペオニシモを達成したクラブは極めて少なく、クルブ・レオン（1949年）、クルス・アスル（1969年）、チーバス・グアダラハラ（1970年）、プエブラ（1990年）、ネカクサ（1995年）のわずか5クラブのみがこの偉業を成し遂げています。

形式変更と中断

1990年代後半、メキシコサッカー界の構造変化に伴い、カンペオン・デ・カンpeónesも大きな転換期を迎えます。1995年にはリーグ戦が前後期制（アペルトゥーラとクラウスーラ）へと変更され、さらに1996-97シーズンをもってコパ・メヒコが一旦廃止されたため、従来の対戦カードを組むことが困難となりました。これにより、1996年から2001年にかけて本大会は開催されない期間が続きました。

2002-03シーズンに大会は復活を果たしますが、その形式は変更されました。この時期は、前後期リーグの優勝クラブ同士が年間王者を決定する大会として位置づけられました。このアペルトゥーラ王者対クラウスーラ王者の形式は2005-06シーズンまで4回開催されましたが、その後2007年からは再び大会が中断されることになります。

2012年の再開と特例

2012年、カンペオン・デ・カンペオーネスは再び開催されますが、またしてもその形式が変更されました。この年の大会は、メキシコ1部リーグ（プリメーラ・ディビシオン）の優勝クラブと2部リーグ（リーガ・デ・アセンソ）の優勝クラブが対戦するという、異例の試みとして行われました。この形式での唯一の開催となった2012年大会では、1部王者のサントス・ラグーナと2部王者のレオンが顔を合わせ、下馬評を覆して2部王者のレオンが勝利を収めました。以降のカンペオン・デ・カンペオーネスは、前後期リーグ王者対決の形式で再開されたと見られます。

スーペルコパ・デ・ラ・リーガMX（2022年）

近年では、特定の状況下で特別な名称の大会が開催されることもあります。2022年には「スーペルコパ・デ・ラ・リーガMX」と称される試合が行われました。これは、アトラスFCがアペルトゥーラ2021シーズンとクラウスーラ2022シーズンの両方で優勝し、自動的にカンペオン・デ・カンペオーネスのタイトルを獲得したために発生したケースです。この特例措置により、通常のカンペオン・デ・カンペオーネス決勝は開催されず、代わりに2021年のカンペオン・デ・カンペオーネス優勝チームであるクルス・アスルと、2022年の年間王者であるアトラスFCとの間で、いわば「新旧王者対決」のような位置づけの試合が行われました。

カンペオン・デ・カンペオーネスは、その長い歴史の中で幾度かの形式変更や中断を経てきましたが、メキシコサッカーにおける年間最強クラブを決定する重要な大会であり続けています。本大会のタイトル獲得は、各クラブにとって大きな栄誉とされています。

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