カンボジア王国 (1954年-1970年)

カンボジア王国：激動の時代を駆け抜けた立憲君主制国家

カンボジア王国は、フランス領インドシナの一部であったカンボジアが、1953年に独立を達成した翌年の1954年に成立した国家です。初代国王には、独立運動の中心人物であり、「独立の父」として国民から敬愛されたノロドム・シハヌークが即位しました。

シハヌーク国王の政治手腕

シハヌーク国王は、即位の翌年には王位を父に譲り、自ら政界に進出します。総選挙に向けてサンクム（人民社会主義共同体）を結成し、圧倒的な勝利を収めました。立憲君主制下では国王の行動に制約が多いため、より精力的な政治活動を志向したシハヌークにとって、王位は必ずしも必要なものではありませんでした。その後、シハヌークは首相兼外相に就任し、カンボジアの政治を主導しました。1960年に父王が亡くなると、シハヌークは新たに「国家元首」という官職を創設し、自ら就任。王位は空位とされたものの、名目上の王制は維持されました。

ベトナム戦争の影響と国内の混乱

1965年にベトナム戦争が本格化すると、シハヌークのカンボジアは北ベトナムを支持し、南ベトナムを支援するアメリカ合衆国と断交しました。1968年からはアメリカ軍によるカンボジアへの空爆も始まり、国内情勢は悪化の一途を辿ります。シハヌークは、対外的には親米的な態度を示すこともありましたが、国内では独裁的な体制を敷き、汚職や政治的な不満が蔓延しました。そのため、1970年にシハヌークが外遊中に、ロン・ノル首相が主導するクーデターが発生。国会はシハヌークの元首解任を議決し、王制を廃止。同年10月9日には、クメール共和国の樹立が宣言されました。

林業

カンボジア王国の主要な産業の一つに林業がありました。森林のほとんどは国有林として管理され、「水と森林、狩猟庁」などの組織によって管理されていました。森林は永久林地と自由林に分けられ、自由林は林力回復までの予備林や農業転用地として利用されました。

カンボジア王国の終焉とその後

ロン・ノルによるクーデターによってカンボジア王国は終焉を迎えましたが、その後のカンボジアは内戦の時代に突入します。内戦は長期化し、多くの犠牲者を出しました。1993年、内戦が終結し、現在のカンボジア王国が成立しました。

カンボジア王国は短命な国家でしたが、その後のカンボジアの歴史に大きな影響を与えました。シハヌーク国王の政治手腕、ベトナム戦争の影響、そして国内の政治的混乱は、カンボジアの現代史を理解する上で欠かせない要素です。

もう一度検索