カーター記念黒部名水マラソン

富山県黒部市において、毎年5月に開催される大規模な市民マラソン大会です。正式名称は「カーター記念黒部名水マラソン」といい、市民ランナーが多数参加する長距離走のイベントとして親しまれています。

大会の起源と歴史

この大会は、1984年にアメリカ合衆国第39代大統領であったジミー・カーター氏が、YKK株式会社の創立50周年を記念する行事に合わせて黒部市を訪問した際に始まります。カーター氏の来市を記念し、宮野運動公園で行われたジョギング大会がその源流となりました。当初は小規模なイベントでしたが、回を重ねるごとに発展していきます。

1993年には、第10回大会の開催を機に大きな転換期を迎えます。大会コースは日本陸上競技連盟の公認コースとして整備され、「日本陸連公認黒部名水マラソンコース」が設定されました。これに伴い、大会名称も「カーター記念黒部名水ロードレース」へと改称され、種目はハーフマラソンが中心となりました。

その後、2014年には大会がさらに規模を拡大し、フルマラソン種目が新たに導入されました。この時、大会名称は現在の「カーター記念黒部名水マラソン」へと変更され、市民マラソンとしての地位を確立します。ただし、世界的なパンデミックの影響を受け、2020年と2021年の大会は感染防止の観点から開催が見送られました。

大会の種目構成

現在の大会では、フルマラソンを筆頭に、様々なレベルのランナーに対応した種目が用意されています。主な種目としては、42.195kmのフルマラソン、10km、5km、3kmの各距離別レース、さらには車いすの部や、記録計測を伴わないジョギングの部があります。特にフルマラソンは人気が高く、定員は6,000人に設定されています。フルマラソンのコースは、日本陸上競技連盟の公認を得ています。

フルマラソンコースの特徴

カーター記念黒部名水マラソンのフルマラソンコースは、黒部市の豊かな自然と地形を活かしたダイナミックな設定が特徴です。黒部市総合公園をスタート地点とし、生地駅を経てあいの風とやま鉄道線沿いを進み、黒部駅からは富山地方鉄道本線に沿って南下します。黒部市民病院（約10km地点）、黒部市立桜井中学校（約15km地点）を経て、黒部宇奈月温泉駅方面へ向かい、黒部市立宇奈月中学校付近で折り返します。

コースの地形は変化に富んでいます。スタート直後は海抜0mに近い海岸線沿いの平坦な道を走りますが、その後は黒部川が形成した扇状地の扇頂部に向かって徐々に標高を上げていきます。コースの最高地点は扇頂部付近の海抜約120m地点となり、ここで折り返した後は、黒部川沿いの扇状地を駆け下りる形となります。終盤は再び海岸線沿いの平地を進み、スタート地点と同じ黒部市総合公園をゴールとする周回コースです。

大会の運営体制と表彰

本大会は、黒部市や黒部市体育協会、カーター記念黒部名水マラソン実行委員会、富山陸上競技協会などが主催団体として名を連ねています。また、黒部市教育委員会、YKK、読売新聞社、報知新聞社などが共催し、黒部市陸上競技協会や実行委員会事務局が大会運営の主管を担っています。

競技成績に対する表彰も行われます。フルマラソンでは、総合男女それぞれ1位から8位までが入賞として表彰されます。加えて、年齢別の表彰も設けられており、29歳以下、30代、40代、50代、60代、70歳以上の各年代区分において、男女それぞれ1位から3位までの選手が表彰の対象となります。その他の種目についても、ジョギングの部を除き、男女別に1位から8位までが表彰されます。

大会の詳細は、公式サイトなどで確認できます。

カーター記念黒部名水マラソン