カーダンパー

カーダンパーとは

カーダンパーは、無蓋車や炭車、鉱車、トロッコといった貨車から積荷を効率的に取り卸すための設備です。この仕組みは、放出するために貨車ごと傾けたり倒立させたりすることに基づいており、取り卸しは重力によって行われます。

使い方と設置場所

大型のカーダンパーは、主に石炭や鉱石の積出し港や製錬所、工場に設置され、無蓋車の取り扱いに利用されます。一方で、小型のカーダンパーは、炭坑や鉱山、あるいは大規模な土木工事現場で使用され、石炭や鉱石だけでなく土砂などの取り卸しにも対応可能です。また、無蓋車に積載した丸太の取り卸しも行うことができます。

カーダンパーは「チップラー」とも呼ばれ、荷物を効率よく取り卸すために設計されています。

特徴

カーダンパーと似たような機能を持つ設備にはホッパ車もあります。ホッパ車は底部が漏斗状になっており、側面または底面に放出口が設けられています。放出口の扉を開けば、荷物を落下させることができます。この方式は地上の設備がそれほど大がかりでなくても運用できる利点がありますが、ホッパ車の構造は複雑なため製作費が高く、容量が小さいというデメリットがあります。また、放出口の断面積が制限されるため、荷物の放出に時間を要することが多いです。特に冬季に石炭が水分を含んでいると、固まってしまうことがあります。

これに対してカーダンパーは、無蓋車を用いるため、製作費が安く、大容量の積載が可能です。また、回転式カーダンパーを使用することで、荷物は大きな開口部から一度に落下するため、短時間に取り卸しが完了します。さらに、荷物が固まったり凍結した場合でも、開口部の大きさによりスムーズに取り卸しができるのが特徴です。ただし、固着や凍結がひどい場合は、振動を与えたり、温めたりする必要があります。

種類

カーダンパーにはいくつかの種類があります:

• - 側転式: 貨車をクレードルに載せ、一定角度回転させて積荷を放出。
• - 回転式（ロータリーカーダンパー）: 貨車を回転枠に押し込み、回転させることで積荷を放出。
• - 引上側転式（リフチングカーダンパー）: 貨車を垂直に持ち上げてから回転させ、高所から放出。
• - 縦方向傾転式: 特殊な無蓋車を用いて積荷を放出。

小規模なカーダンパーは貨車1両分の長さしかないため、貨車は1両ずつ解結してカーダンパーに押し込む必要があります。しかし、大型の回転式カーダンパーでは2両連結したまま回転できるものも存在します。

世界の運用

世界では、貨車を100両連結した石炭や鉱石を輸送する列車が運行されています。この場合、貨車を1両ずつ解結すると非常に時間がかかるため、連結器を回転させることで、複数の貨車を一度に取り卸す方式が採用されています。

日本におけるカーダンパー

日本では、1933年と1935年に、室蘭港と小樽港に大型の回転式カーダンパーが設置されました。これらのカーダンパーは、北海道内陸部の炭坑から鉄道で運ばれた石炭を船に積むために利用され、1基あたりの能力は1時間に900トンでした。ただし、アメリカのカーダンパーに比べると規模は小さかったです。現代の日本では、カーダンパーを目にする機会はほとんどありませんが、特定の製錬所で運用が続けられています。

結論

カーダンパーは、貨物の効率的な取り卸しを実現する重要な機器。大型・小型、さまざまな形式が存在し、使用環境に応じて最適な選択がなされます。

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