カーブル陥落 (2021年)

2021年カーブル陥落：アフガニスタンにおける政権崩壊と国際社会の対応

2021年8月、アフガニスタン情勢は劇的な転換点を迎えた。長年にわたる紛争の末、ターリバーンが首都カーブルを掌握し、アフガニスタン・イスラム共和国政府は崩壊した。このカーブル陥落は、アメリカ軍の撤退と、予想をはるかに上回るターリバーンの急速な侵攻によって引き起こされた。

米軍撤退とターリバーンの攻勢

ジョー・バイデン大統領が決定した米軍撤退期限（同年8月末）が迫る中、ターリバーンは各地で攻勢を強めた。政府軍はアメリカからの支援が減少し、急速に弱体化。ターリバーンは主要都市を次々と制圧し、その勢いは留まることを知らなかった。この予想外の迅速な侵攻は、アメリカ国内に衝撃を与え、政府の対応を大きく問うこととなった。

カーブル陥落

8月15日、ターリバーンはカーブルを包囲したと発表。当初は武力による制圧を否定し、無血開城を目指すと表明していた。しかし、同日夜にはターリバーン戦闘員が市内へ突入。政府軍は既に撤退しており、事実上抵抗を受けることなく、カーブルはターリバーンの手に落ちた。この陥落によって、アフガニスタン・イスラム共和国政府は崩壊。アシュラフ・ガニー大統領は国外へ脱出した。

国際社会の対応

カーブル陥落は国際社会に大きな衝撃を与え、各国は様々な対応を取った。

日本: 航空自衛隊の輸送機を派遣し、日本人やアフガニスタン人職員の退避支援を行った。
アメリカ: 大使館閉鎖と職員の緊急退避を行い、その後、民間人や現地協力者の大規模な退避作戦を実施した。8月末までに約8万8000人を国外へ退避させたものの、一部の民間人が残留したまま撤退を完了した。
イギリス: イギリス人や現地協力者7100人以上を退避させた。外相のドミニク・ラーブが陥落時に休暇中だったことが批判を浴びた。
オランダ: 大使館職員がアフガニスタン人職員に知らせずに退避を開始したことが批判を招き、その後、退避支援に遅れが出た。

各国政府は、自国民や現地協力者の救出に追われ、混乱と批判に晒された。カーブル国際空港は多くの避難民でごった返し、退避作業は困難を極めた。

陥落後のアフガニスタン

カーブル陥落は、アフガニスタンに新たな時代を切り開いた。ターリバーンによる支配が開始され、女性の権利や教育、表現の自由など、人々の生活は大きく変化した。国際社会は新たなアフガニスタン政府との外交関係構築に苦慮し、人道危機への対応に追われている。また、残されたアメリカ市民やアフガニスタン人の支援、そしてアフガニスタンにおけるテロリズムの脅威といった課題も残された。カーブル陥落は、アフガニスタン紛争の終焉ではなく、新たな局面の始まりであると言えるだろう。この出来事は、歴史に刻まれただけでなく、国際関係や安全保障、人道支援といった様々な分野に多大な影響を与え続けるだろう。

関連事項

サイゴン陥落：ベトナム戦争末期の出来事。カーブル陥落との比較が一部報道で見られた。
アメリカ同時多発テロ事件：アフガニスタン紛争の引き金となったテロ事件。
* カーブル国際空港自爆テロ事件：カーブル陥落後の8月に発生したテロ事件。ISKPが犯行声明を出した。

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