カーブル

カーブルの概要

カーブル（ペルシア語: كابل‎、ラテン文字転写: Kabul）は、アフガニスタンの東部中央に位置する同国の首都であり、カーブル州の州都でもあります。2021年の推計人口は約460万人で、国内最大の都市です。日本では「カブール」や「カーブル」といった多様な表記が使われていますが、現地発音に近い「カーブル」が近年一般に広く用いられるようになっています。

標高約1800メートルという高地に位置し、ヒンドゥークシュ山脈の南部に広がる盆地の中にあります。カーブル川が市内を流れ、この川はインダス川の支流です。約180km東にはパキスタンとの国境が広がっています。

歴史的背景

カーブルは3000年以上の歴史を有し、古くから様々な民族が集まる交流の場でした。そのため、「文明の十字路」と称されることもあります。かつてはヒッピーの聖地としても知られていましたが、戦争の影響を受け、現在は復興に努めています。

カーブルはアフガニスタンの文化的、経済的中心地であり、国立カーブル大学が1931年に開設されました。また、商業活動が盛んで、皮革、家具、ガラス工業なども発展しています。環状高速道路によって、ガズニー、カンダハール、ヘラート、マザーリシャリーフと接続されています。

文化と人口

カーブルの公用語はパシュトー語とダリー語（ペルシア語系）で、これらの言語では「كابل‎」と表記されます。タジク人、ハザーラ人、パシュトゥーン人などの多民族が共存し、特にタジク人が多数派を占めています。現地住民の多くはペルシア語を話し、スンナ派のタジク人が最大のグループです。

2021年の時点での人口は約460万人で、急速に増加しています。予測によると2050年には1709万人に達する見込みです。

近代の動向

1979年のソ連の侵攻、1996年のターリバーン政権による占拠を経て、2001年のアメリカの介入と政権崩壊を迎えました。その後、アフガニスタン・イスラム共和国が成立し、カーブルは再び首都として機能を発揮します。

2021年にはアメリカ軍の撤退と共にターリバーンが再びカーブルを制圧しますが、新政権下では厳しい状況が続いています。市内では人権侵害の問題や治安悪化が懸念され、エコノミーの停滞が深刻な問題となっています。

交通とインフラ

カーブルの交通インフラは徐々に整備が進んでおり、カーブル国際空港が長距離移動の重要な拠点となっています。また、多くのバス路線が運行されており、タクシーも利用可能です。通信インフラも整備され、携帯電話の使用が急速に増えている他、光ファイバーネットワークの構築が進められています。

カーブルの観光名所としては、国立博物館、ダルラマン宮殿、バーブル廟、さらには旧市街のバザールがあり、観光客にとって魅力的なスポットが多く存在します。

未来への展望

カーブルは、豊かな歴史を有する都市であると同時に、現在は復興の過程にあります。国際的な支援や地域の連携が求められ、都市の再建や経済の復活が期待されています。多民族共存の地として、カーブルが再び平和で繁栄した都市になることを願う声は多く、地域と国の発展に向けた努力が続けられています。

もう一度検索