カーボベルデ人のディアスポラ

カーボベルデ人のディアスポラ:故郷を離れた人々の足跡



カーボベルデ人のディアスポラとは、カーボベルデ諸島からの移民が、時間的、空間的な広がりを持って世界各地に展開している現象を指します。今日では、カーボベルデ本国で暮らす人々よりも、海外で生活するカーボベルデ系住民の数が多いという状況が生まれています。

ディアスポラの背景



19世紀以降、カーボベルデは周期的な旱魃飢饉に見舞われ、多くの人々が島外への移住を余儀なくされました。特に19世紀前半からは、アメリカ合衆国ニューイングランド地方、具体的にはマサチューセッツ州やロードアイランド州などへの移住が活発化しました。これらの地域には現在、カーボベルデ系アメリカ人として知られるコミュニティが形成され、世界最大のカーボベルデ人ディアスポラの地となっています。

世界各地への広がり



カーボベルデ人のディアスポラは、アメリカ大陸だけでなく、アフリカやヨーロッパなど、世界各地に広がっています。以下に主な移住先を挙げます。

アフリカ: アンゴラ、ガボン、ギニアビサウ、コートジボワール、モザンビーク、サントメ・プリンシペ、セネガル
ヨーロッパ: ベルギー、イギリス、オランダ、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス
北アメリカ: アメリカ合衆国、カナダ、キューバ
南アメリカ: アルゼンチン

これらの国々では、カーボベルデ系のコミュニティが形成され、それぞれの文化や社会に貢献しています。

著名なカーボベルデ系人物



ディアスポラとして世界に広がるカーボベルデ人の中には、様々な分野で活躍している著名な人物も数多く存在します。

音楽: レフト・アイ(TLCの歌手、ラッパー)、ポール・ペナ(歌手、ソングライター、ギタリスト)
スポーツ: トニー・ゴンザレス(元アトランタ・ファルコンズの選手)、ヘンリク・ラーション(元サッカー選手)、ナニ(サッカー選手)、ライアン・ゴメス(元バスケットボール選手)
学術・文化: Dr. Azágua(詩人、教育者)、ピーター・ゴメス(アメリカの牧師、神学者)、ホレス・シルヴァー(ジャズピアニスト、作曲家)
芸能: マイケル・ビーチ(俳優)、アンバー・ローズ(モデル)
その他: デイビー・ロープス(元MLBの二塁手、マネージャー)

これらの人物の活躍は、カーボベルデの文化を世界に広め、ディアスポラの存在感を示しています。

ディアスポラの意義



カーボベルデ人のディアスポラは、単なる人口移動の現象ではありません。それは、故郷を離れた人々が新たな土地でコミュニティを築き、文化を継承し、経済的な発展に貢献する、複雑で多面的なプロセスです。ディアスポラの存在は、カーボベルデ本国にとっても重要な意味を持ち、経済的な支援や文化交流を通じて、国家の発展に貢献しています。

参考文献


市之瀬敦「クレオルの島カボ・ベルデ──その形成とディアスポラ」『社会思想史の窓第118号──クレオル文化』石塚正英編、社会評論社東京、1997年5月。

関連項目


カーボベルデの歴史
カーボベルデ人の一覧
* Category:カーボベルデ系人

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