エジプト第17王朝

エジプト第17王朝の概要

エジプト第17王朝は、紀元前1663年頃から概ね紀元前1550年頃までの間に存在した古代エジプトの王朝であり、この時期は第2中間期に相当します。この王朝は、テーベ（現在のルクソール）を中心に上エジプトの支配権を持ち、同時期に下エジプトではヒクソスが第15王朝を築いていました。当初はヒクソスに従属していた第17王朝ですが、次第に独立した存在へと転じ、最終的にはヒクソスを滅ぼしエジプトを統一しました。これにより、新王国時代が始まりました。

歴史的背景

第17王朝の成立は、ヒクソスの支配が続いていた時期にさかのぼります。ヒクソスは異民族であり、下エジプトに王朝を築いていました。当初、第17王朝はヒクソスの権威に対し臣従の姿勢を保っていましたが、次第にその抑圧に抵抗することを決意します。これを象徴するのが、テーベの神殿に関連する故事「アポフィスとセケンエンラーの争い」です。この物語では、ヒクソスの王アポフィスがテーベの神殿を訪れ、不当な要求をセケンエンラー王に依頼する場面が描かれています。これが実際にあった出来事かどうかは不明ですが、少なくともこの時期のテーベの王権が強化され、抵抗の意志が芽生えたことは間違いありません。

対ヒクソスの戦争

セケンエンラー王はヒクソスに対する戦いを開始しますが、戦死してしまいます。彼の後を継いだカーメス王は、父の意志を受け継ぎ再びヒクソスと戦う決意を固めます。カーメスは初期の戦闘でヒクソス側の有力諸侯を破り、西部砂漠を占領しました。この勝利により彼はヒクソスの脅威に立ち向かう自信を得ていきました。その後、カーメスは第15王朝の首都アヴァリスに迫り、包囲を開始しますが、彼自身は治世中に死亡してしまいました。

カーメスの死後、弟のイアフメス1世が即位しました。イアフメスは、カーメスが築いた基盤をもとにさらなる攻撃を続けます。彼は下エジプトの要所であるメンフィスを占領し、アヴァリスを陥落させることに成功しました。その後もイアフメスは残存するヒクソス勢力に対して攻撃を続け、最終的にパレスチナのシャルヘンを包囲し、ヒクソスの支配を完全に打破しました。

歴代王とその系譜

第17王朝に関する詳細な王名の記録は残っていませんが、マネトの記録によれば43人のヒクソス王と43人のテーベ王が存在したとされています。しかし、現在では少なくとも二つの異なる家系に分けられる説が有力です。近年の研究では、イアフメス1世を含む後期の家系を第17王朝として位置づけています。

結論

エジプト第17王朝は、古代エジプトにおいて重要な転換点の一つであり、ヒクソスからの独立を果たして新王国時代を築く大きな役割を果たしました。この王朝の過程は、エジプトの歴史のみならず、古代オリエントとの関係性にも影響を与えました。第17王朝の歴史は、これからの研究によってさらに明らかになることが期待されます。

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