カール・アントン・フォン・マイヤー

カール・アントン・フォン・マイヤー

カール・アントン・フォン・マイヤー（Carl Anton von Meyer、1795年4月1日 - 1855年2月24日）は、ロシア帝国で活躍したドイツ出身の植物学者です。彼は、特にアルタイ山脈地域の博物探検旅行で知られ、植物学研究に大きな足跡を残しました。

生涯

マイヤーは、現在のベラルーシ共和国のヴィーツェプスクで生まれました。1813年より、ロシア皇帝アレクサンドル1世によって設立されたデルプト大学（現在のエストニア、タルトゥ大学）で、著名な植物学者カール・フリードリヒ・レーデブーアのもとで植物学を学びました。この時期に、彼は数々の博物探検に参加し、その経験が後の研究活動の基礎となりました。

アルタイ探検

1826年から1827年にかけて、マイヤーはレーデブーア、アレクサンダー・ゲオルク・ブンゲと共に、アルタイ山脈や東カザフスタン地域を探検しました。この探検で収集された膨大な植物標本は、後に彼らが共同で著した『Flora Altaica』（全4巻、1829年 - 1833年）の基礎となりました。この著作は、アルタイ地域の植物相を詳細に記述したもので、植物学研究における重要な業績として高く評価されています。

コーカサス探検

1829年、マイヤーはゲオルギ・エマニュエル将軍が率いるコーカサス山脈のエルブルス山への大規模な科学探検に、ハインリヒ・レンツをはじめとする科学者たちと共に参加しました。この探検で、彼はコーカサス地域の植物相に関する知識を深めました。

サンクトペテルブルク時代

1835年、マイヤーはサンクトペテルブルク科学アカデミーの植物学者に任じられました。彼は、サンクトペテルブルク帝立植物園長であったフリードリヒ・エルンスト・ルートヴィヒ・フィッシャーのもとで働き、植物園の運営と研究に携わりました。1844年にカール・ベルンハルト・フォン・トリニウスが亡くなると、科学アカデミー植物研究所の所長に就任し、研究を推進しました。1850年には、フィッシャーの後任としてサンクトペテルブルク帝立植物園長となり、その職を没するまで務めました。

業績

マイヤーの主な業績は、アルタイ山脈地域の植物相の研究と、『Flora Altaica』の編纂です。また、サンクトペテルブルク帝立植物園長として、植物園の発展に貢献しました。

著作

Enumeratio plantarum novarum a cl. Schrenk lectarum. (フィッシャーと共著), 1841-1842.
Flora Altaica; scripsit Carolus Fridericus a Ledebour, adiutoribus Car. Ant. Meyer et Al. a Bunge. (レーデブーア、ブンゲと共著), 1829-1833.
Versuch einer Monographie der Gattung Ephedra : durch Abbildungen erläutert, 1846.

参考文献

Robert Zander, Fritz Encke, Günther Buchheim, Siegmund Seybold (éd.), Handwörterbuch der Pflanzennamen, 13e édition, Ulmer Verlag, Stuttgart, 1984, (ISBN 3-8001-5042-5).

カール・アントン・フォン・マイヤーは、19世紀のロシア植物学において重要な役割を果たした人物であり、彼の研究は現代の植物学にも影響を与え続けています。

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