カール・フリードリヒ・レーデブーア

カール・フリードリヒ・レーデブーア

カール・フリードリヒ・レーデブーア（Carl Friedrich von Ledebour, 1786年7月8日 - 1851年7月4日）は、ドイツ出身の植物学者であり、後にロシア帝国で貴族となりました。彼はアルタイ山脈地域の探検で特に知られています。

生涯

レーデブーアはヴェストファーレンで生まれ、父親はスウェーデン軍の主計役人でした。グライフスヴァルト大学で法律と自然科学を学び、1805年に卒業後、同大学で教鞭をとりました。その後、ロシア皇帝アレクサンドル1世によって設立されたタルトゥ大学に招聘され、1811年に植物学の教授と植物園長に就任しました。

ロシアでの植物研究が認められ、1823年にはアレクサンドル1世によって貴族に列せられました。レーデブーアの名声を不動のものとしたのは、1826年に行われたアルタイ山脈と東カザフスタンへの探検でした。この探検は、大学とロシアの財務大臣カンクリン伯爵の資金提供によって実現しました。探検には、教え子であるアレクサンドル・ブンゲとカール・アントン・フォン・マイヤーが同行しました。

18世紀後半のペーター・ジーモン・パラスやパトランらの探検がアルタイ山脈の西部までであったのに対し、レーデブーアの探検は9ヶ月以上に及び、アルタイ山脈全域を調査し、中国との国境にまで到達しました。この探検の記録は、1829年から1830年にかけて『アルタイ山脈とジュンガル・キルギス草原の旅』としてドイツ語で出版されました。

1836年に大学を退職した後、オデッサ、ハイデルベルクを経て、ミュンヘンで生涯を閉じました。

業績

レーデブーアは、植物学、特に分類学において多大な貢献をしました。彼のアルタイ山脈探検は、この地域の植物相の解明に大きく貢献し、多くの新種を発見しました。また、その研究成果は、後の植物学研究に重要な基礎を提供しました。キジカクシ科の植物の属名である Ledebouria および Ledebouriella は、彼の功績を称えて命名されたものです。また、多くの植物の種名にもレーデブーアの名が冠されています。

主な著作

『アルタイ山脈とジュンガル・キルギス草原の旅』(Reise durch das Altai-Gebirge und die soongorische Kirgisen-Steppe) 1829-1830年
『アルタイ植物誌』(Flora altaica) 1829-1834年
『ロシア植物誌の図説』(Icones plantarum novarum vel imperfecte cognitarum floram rossicam, imprimis altaicam, illustrantes) 1829-1834年
『ロシア植物誌』(Flora rossica) 1841-1853年：ロシア帝国全体の植物を網羅した最初の植物誌

参考文献

Edmund Russow (1883). "Ledebour, Karl Friedrich von". Allgemeine Deutsche Biographie (ドイツ語). Vol. 18. Leipzig: Duncker & Humblot. p. 111.
Friedhelm Berthold Kaiser: Ledebour, Karl Friedrich von. In: Neue Deutsche Biographie (NDB). Band 14, Duncker & Humblot, Berlin 1985, ISBN 3-428-00195-8, S. 38 (電子テキスト版).

レーデブーアの探検と研究は、植物学の発展に大きく寄与し、その名は今もなお、多くの植物の名前を通して語り継がれています。

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