カール・シャウプ

カール・サムナー・シャウプ

カール・サムナー・シャウプ（Carl Sumner Shoup, 1902年10月26日 - 2000年3月23日）は、アメリカ合衆国の著名な租税法学者であり経済学者です。コロンビア大学の教授として長く教鞭を執り、特に第二次世界大戦後の日本の税制改革において重要な役割を果たしました。

人物と業績

シャウプは、税は公平かつ簡素であるべきだという揺るぎない信念を持っていました。この哲学に基づき、彼は世界各国の税制改革に貢献しました。最も知られている業績の一つは、戦後混乱期の日本における税制改革です。連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の要請により、シャウプは税制使節団の団長として来日し、詳細な調査に基づいた「シャウプ勧告」を提出しました。この勧告は、その後の日本の税制の基盤を築き、「日本の戦後税制の父」と称される所以となりました。

日本以外にも、1950年代にはキューバ、ベネズエラ、リベリアなどで税制構築を支援しました。さらに、欧州などで広く採用されている付加価値税（VAT）の制度設計においても、彼の貢献は大きく評価されています。

来歴

シャウプは1902年にカリフォルニア州に生まれました。スタンフォード大学で法学を修めた後、コロンビア大学で経済学を専攻し、博士号を取得。同大学で講師、准教授を経て、1945年に教授に昇任しました。また、経済学部長も務めました。1949年には税制使節団長として来日。1971年にコロンビア大学を退職しました。

シャウプ勧告

シャウプ勧告は、1949年8月27日付と1950年9月21日付の二つの報告書にまとめられています。シャウプはウィリアム・ヴィックリーやウィリアム・C・ウォレンら使節団員と共に、1949年5月10日から8月26日までの短期間に来日。この間、政府関係者、学者、各地の視察などを精力的に行い、短期間で膨大な報告書を完成させました。

使節団の主要メンバーは以下の通りです。

• - カール・S・シャウプ（団長、コロンビア大学）
• - ウィリアム・ヴィックリー（コロンビア大学）
• - ウィリアム・C・ウォレン（コロンビア大学）
• - ハワード・R・ボーエン（イリノイ大学）
• - スタンレー・S・サリー（カリフォルニア大学）
• - ジェローム・B・コーエン（ニューヨーク市立単科大学）
• - ローランド・F・ハットフィールド（セント・ポール収税庁）

勧告は、所得税中心の総合課税、申告納税制度、地方税制の強化などを提言し、今日の日本の税制の骨格を形作りました。

カール・シャウプコレクション

高齢により研究活動から退く際、シャウプは日本の機関への資料寄贈を希望しました。金子宏教授の仲介で、1991年に横浜国立大学経済学部が彼の蔵書・資料を購入。現在、「カール・シャウプコレクション」として同大学附属図書館に収蔵されており、財政学等の貴重な研究資料として活用されています。約3,000冊の書籍、約1,000タイトルの雑誌、数万点の文書類が含まれます。

日本語文献・関連事項

シャウプの著作には複数の日本語訳が存在し、日本の学界に影響を与えました。主なものに『財政学』や『シャウプの証言』などがあります。シャウプ勧告は、ドッジ・ラインといった同時代の日本の経済政策とも関連して語られます。

もう一度検索