カール・ハインリッヒ・ブロッホ

カール・ハインリッヒ・ブロッホ（Carl Heinrich Bloch, 1834年5月23日 - 1890年2月22日）は、デンマークの画家であり、19世紀のデンマーク美術を代表する一人として知られています。コペンハーゲンで生まれ、同地で生涯を閉じました。

生涯と画業

ブロッホは、当初、家族から海軍軍人になることを期待されていましたが、幼少の頃から絵画に対する強い興味と才能を示しました。1849年、デンマーク王立美術院に入学し、著名な画家ヴィルヘルム・マーストランの下で絵画の基礎を学びました。初期の作品は、日常生活を描いた風俗画が中心で、当時の人々の生活の様子を生き生きと捉えていました。

1859年から1865年にかけて、ブロッホはイタリアに滞在し、南イタリアのソレントの漁師など、現地の生活を題材にした作品を多く制作しました。この時期を境に、ブロッホの作風は徐々に変化し、歴史的・宗教的な題材を扱うようになります。特に、聖書の物語を題材にした作品は、彼の画力を最大限に引き出し、デンマーク国内で非常に高い評価を得ました。これらの作品は、クリスチャンボー城のナショナルギャラリーに買い上げられ、彼の名声を確固たるものとしました。

1865年には、作品『プロメテウスの解放』で更なる評価を得て、王立美術院の会員に選ばれました。その後、富裕な芸術愛好家からの依頼で、新約聖書を題材とした22枚の絵画を制作しました。これらの作品は、火災で焼失したフレデリクスボー城の祈祷室を再建する際に飾られるために制作され、彼の代表作として知られています。これらの宗教画は、ドラマチックな構図と細部にまでこだわった描写が特徴で、今日においても多くの人々に感銘を与え続けています。

作品の特徴

ブロッホの作品は、その卓越した描写力とドラマチックな構成が特徴です。特に宗教画においては、聖書の物語を深く理解し、登場人物の感情や情景を鮮やかに描き出しています。彼の作品は、単なる聖書物語の挿絵ではなく、観る者の心に強く訴えかける力を持っており、宗教的なテーマを超えた芸術的価値を認められています。

ブロッホの作品は、現在も世界中の美術館やギャラリーに所蔵されており、その芸術的な価値は高く評価されています。彼の作品を通して、19世紀のデンマーク美術の豊かさを感じることができるでしょう。

代表作品

『プロメテウスの解放』
新約聖書を題材とした連作（フレデリクスボー城祈祷室）
* その他風俗画やイタリアの風景を描いた作品

外部リンク

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ホープギャラリー所蔵のブロッホの絵画

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