カール・フレンツェル

カール・フレンツェル：ソビブル強制収容所の看守

カール・フレンツェル(1911年-1996年)は、ナチス・ドイツ親衛隊(SS)の下士官であり、ソビブル強制収容所の看守として暗躍した人物です。最終階級は親衛隊曹長に上りました。グスタフ・ワーグナーと共に、ソビブル強制収容所の悪名高い看守として、収容者たちから激しい恐怖を与えられました。

フレンツェルはドイツのツェーデニック出身で、大工としての職業訓練を受けた後、弾薬工場で働いていました。1930年にはナチス党に入党し、熱心な党活動により、アドルフ・ヒトラーから「名誉のダガー」を授与される栄誉に浴しています。1940年には、障害者安楽死計画であるT4作戦にも参加していました。

その後、ポーランドのルブリン地区へ派遣され、親衛隊・警察高級指導者オディロ・グロボクニクの推薦によって親衛隊曹長に昇進。1942年4月28日からは、ソビブル強制収容所で勤務を開始しました。

ソビブルでのフレンツェルは、ワーグナーに次ぐ残虐性で知られており、到着したばかりのユダヤ人を強制労働させるか、ガス室送りにするかを選別する役割を担っていました。これは、まさに生と死を分ける、恐るべき権力でした。

1943年10月、ソビブル強制収容所で大規模な囚人脱走事件が発生しました。多くのSS看守が殺害される中、フレンツェルは生き残りました。この事件をきっかけにソビブル強制収容所は閉鎖され、フレンツェルはイタリアへ移送され、パルチザン狩りに従事しました。

終戦後、フレンツェルは米軍の捕虜収容所に収容されましたが、1945年11月に釈放。その後、ゲッティンゲンの撮影スタジオで働いていましたが、ソビブルでのユダヤ人虐殺への関与が明るみに出ると、1962年に西ドイツ警察に拘留されました。1966年には終身刑の判決を受けましたが、健康状態の悪化により1982年に釈放。その後、再度終身刑の判決を受けましたが、これもまた健康状態を理由に執行されませんでした。

晩年はハノーファーの老人ホームで過ごし、1996年に85歳で亡くなりました。死の直前には「もう一度よく考えてみると自分は有罪だと感じる。我々は当時悪事を行ったのだから。ユダヤ人をめぐる出来事のすべてが犯罪だった。自分がそれに加担したことを私は残念に思う」と、自らの罪を悔いる言葉を遺しています。

フレンツェルの残虐な行為は、映画『脱走戦線　ソビボーからの脱出』(1987年)や『ヒトラーと戦った22日間』(2018年)で描かれており、その恐ろしい姿が広く知られることとなりました。これらの映画では、それぞれクルト・リーブとクリストファー・ランバートがフレンツェルを演じています。フレンツェルの人生は、ナチス政権下における人間の残虐さと、その後の罪の意識、そして歴史への警告を物語る、重い歴史の証言となっています。

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