カール・ブラウン (バスケットボール)

カール・オーガスト・ブラウン・ジュニア（Carl August Braun Jr., 1927年9月25日 - 2010年2月10日）は、アメリカ合衆国出身の元プロバスケットボール選手、そして指導者としても活躍した人物です。身長196cm、体重81kgと、ガードとしては恵まれた体格を有していました。1950年代にはNBAのニューヨーク・ニックスでその名を馳せ、2019年にはバスケットボール殿堂入りを果たし、その功績が改めて讃えられました。

選手経歴

ニューヨーク州ブルックリンで生を受けたブラウンは、コルゲート大学でバスケットボールの腕を磨き、1947年にBAA（後のNBA）のニューヨーク・ニックスに入団しました。ルーキーイヤーから、当時の新記録となる1試合47得点を叩き出すなど、その才能をいかんなく発揮し、オールBAA2ndチームに選出される鮮烈なデビューを飾りました。

しかし、1950年から1952年までの間は、兵役のためバスケットボールから一時的に離れることになります。

1952-53シーズンにニックスへ復帰すると、ブランクを感じさせない活躍を見せ、この年から5年連続でオールスターゲームに選ばれるという輝かしい記録を打ち立てました。同年、チームはファイナルに進出するも、強豪ミネアポリス・レイカーズの前に惜しくも敗退しました。翌1953-54シーズンには、平均14.8得点をマークし、オールNBA2ndチームに選出されるなど、リーグを代表する選手としての地位を確立しました。

ブラウンは、1959-60シーズンの途中から選手兼任という形でニックスのヘッドコーチに就任し、翌1960-61シーズンまでその任を務めました。しかし、コーチとしての成績は40勝87敗、勝率.315と、苦戦を強いられました。

1961-62シーズン、ブラウンは12シーズンもの間在籍したニックスを離れ、ボストン・セルティックスへと移籍します。当時、セルティックスはビル・ラッセルを中心に黄金時代を築いており、この年もファイナルでロサンゼルス・レイカーズを破り、4連覇を達成しました。ファイナルで2試合に出場したブラウンは、念願であったチャンピオンリングを手に入れ、このシーズンを最後に現役を引退しました。

BAA及びNBAでの通算成績は、788試合に出場し、10,625得点2,892アシスト（平均13.5得点3.7アシスト）を記録しました。

2010年、ブラウンはフロリダ州スチュアートにて、82歳でその生涯を閉じました。

そして2019年、長年の功績が認められ、バスケットボール殿堂入りを果たしました。

プレースタイルと評価

ブラウンは、1950年代を代表する最高のガードの一人として広く認知されています。卓越したシュート力を最大の武器とし、ニックスに在籍した最初の7シーズンにおいては、チームトップの平均得点を記録し続けました。特に、ブラウンのツーハンド・セットシュートは、非常に高い打点から放たれるため、相手ディフェンダーにとってブロックが極めて困難であり、その美しいフォームから「芸術的」と評されました。また、ハンドリング技術やゲームメイク能力にも優れており、オールラウンドな活躍を見せました。ブラウンを中心に、ディック・マグワイア、ハリー・ギャラティンらを擁したニックスは、リーグ屈指のオフェンス力を誇りましたが、悲願の優勝にはあと一歩届きませんでした。

エピソード

ブラウンは、1947年と1948年の2年間、ニューヨーク・ヤンキース傘下のマイナーリーグで野球選手としてもプレーしていました。ポジションは投手で、計35試合に登板しましたが、肩を痛めたことがきっかけで、バスケットボールに専念することとなりました。

また、バスケットボールにおいて、リングに触れることなくクリーンに決まるシュートを「スウィッシュ (swish)」と表現することがありますが、この言葉は、ブラウンがウォームアップ中にナイスショットを決めた際によく発していた言葉を、スポーツキャスターのマーティ・グリックマンが実況で使用したことがきっかけで、一般的に広まったとされています。

もう一度検索