カール・レーマン

カール・ヴィルヘルム・ハインリヒ・レーマン

カール・ヴィルヘルム・ハインリヒ・レーマン（Carl Wilhelm Heinrich Lehmann、1831年11月28日 - 1874年4月21日）は、オルデンブルク出身のドイツ人技術者、貿易商（武器商人）であり、レーマン・ハルトマン商会の経営者として幕末の日本で活動しました。

生涯

レーマンは、オルデンブルクで高等司法顧問官を務めていたアレクサンダー・アドルフ・レーマンの長男として生まれました。幼い頃から造船に関心を抱き、叔父が経営するアメリカ・ボルチモアの造船所で技術を学び、その後オランダ・ロッテルダムの造船所へ移りました。

1861年、オランダ東インド会社を通じて長崎の出島に渡り、造船技術指導者として活動を開始しました。しかし、1865年に勤務先であった立神軍艦打立所が閉鎖されたため失職。偽名を使って幕府に異議を申し立てるも却下されています。

その後、レーマンは商人に転身し、長崎や横浜を拠点に、長州藩、熊本藩、広島藩、鳥取藩などと銃や汽船などの取引を行いました。1866年10月には、オスカー・ハルトマンと共にレーマン・ハルトマン商会を創業し、長崎では勝海舟や会津藩士の山本覚馬と交流を深めました。

1867年1月、会津藩との間で撃針銃の取引を行うため、山本覚馬や中沢帯刀と共に兵庫へ向かいました。当時、外国人の遊歩は禁じられていましたが、病気を偽って上陸し、会津藩家老の田中玄清に撃針銃の見本を提出。同年5月には1,300挺の小銃を受注し、そのうち300挺を納入しました。

1867年6月、紀州藩・会津藩との取引を履行するためプロイセンへ帰国し、銃を調達しました。紀州藩向け3,000丁と合わせて4,300丁を日本へ輸送し、紀州藩に引き渡しました。また、この際に娘のオトキをヨーロッパへ留学させ、洗礼を受けさせました。さらに、日本人初のドイツ留学生である小松済治を同行させ、カール・ケッペンを紀州藩に紹介し、後の津田出による紀州藩の改革に貢献しました。

1868年秋に長崎へ戻り、その後、レーマン・ハルトマン商会の事務所を大坂と兵庫に移転。京都府顧問となっていた山本覚馬と再会し、協力関係を築きました。弟のルドルフを覚馬に紹介し、レーマン兄弟は覚馬の振興策に貢献しました。

1873年秋にオルデンブルクへ帰国し、1874年4月21日に42歳で死去しました。

逸話

山本覚馬の妹である新島八重が戊辰戦争で使用したスペンサー銃は、レーマンから譲り受けたものとされています。

家族

来日後、日本人女性・Kija Eakiと結婚し、娘のルイーズ・シャルロット・オトキをもうけましたが、妻とは間もなく死別しました。その後、おなつという名の日本人女性との間にカーラ・ジュリー・コイネという娘をもうけました。

関連作品

テレビドラマ
2013年　八重の桜　演 ： エリック・ボシック

参考文献

荒木康彦『近代日独交渉史研究序説 ―最初のドイツ大学日本人学生馬島済治とカール・レーマン』 ISBN 978-4-8419-0314-0

外部リンク

DEJIMA BIOGRAPHIES
* 長崎大学付属図書館幕末・明治期日日本古写真メタデータ・データベース

もう一度検索