田中玄清

田中玄清（たなか はるきよ）は、文政3年（1820年）に生まれ、慶応4年（1868年）に没した、幕末の会津藩家老です。号を大海と称し、田中土佐の名で広く知られています。子は玄光。

生涯

会津藩の重臣である田中玄良の長男として生まれた玄清は、幼少より武士としての教育を受けました。田中家は会津九家に数えられる名門で、2000石という高い家禄を有していました。父の後を継ぎ家老となった玄清は、藩主・松平容保に仕え、その才能を発揮します。

文久2年（1862年）、幕府から容保に京都守護職就任の命が下ると、玄清は家老・西郷頼母と共に江戸へ赴き、容保に就任の反対を説きました。京都の政情不安と、それに伴う藩の負担の増大を懸念したためです。しかし、守護職就任が決定すると、玄清は野村左兵衛らと共に先んじて上洛し、京都での事前調整に奔走しました。

戊辰戦争が勃発すると、玄清は会津戦争において、会津若松城下に侵攻してくる官軍を迎え撃つべく、甲賀町口で指揮を執りました。畳を盾に銃弾を防ぎながら奮戦したと伝えられていますが、激戦の中で負傷。慶応4年（1868年）8月23日、郭内五之丁の医師・土屋一庵の屋敷にて、家老・神保内蔵助と共に自刃し、49歳という若さで生涯を閉じました。墓所は福島県会津若松市の天寧寺にあり、法名は精徹院殿忠亮玄清居士です。

田中家について

田中家は、伊勢国北畠氏の一門である田丸氏をルーツとし、後に甲斐武田氏に仕え、さらに保科氏の家臣となりました。保科正之の時代には、田中正玄が藩の大老として藩政を主導しました。玄清の曽祖父である田中玄宰は、天明期に藩政改革を推進し、藩校・日新館を創立するなど、会津藩の発展に大きく貢献しました。玄清の祖父である玄成は、玄宰の長男でしたが早世したため、弟の玄古が家督を継ぎ家老を務めました。玄清の父である玄良は、養父（叔父）玄古の隠居により家督を相続し、同様に家老を務めています。玄宰の叔父である玄通の子孫には、第二次共産党委員長を務め、後に右翼活動家となった田中清玄がいます。

田中玄清を演じた俳優たち

田中玄清は、その波乱に満ちた生涯から、数多くの映像作品で取り上げられています。

佐藤慶 - 年末時代劇スペシャル『白虎隊』（1986年、日本テレビ）
山田明郷 - 『白虎隊 (2007年のテレビドラマ)』（2007年、テレビ朝日）
寺田農 - 『白虎隊〜敗れざる者たち』(2013年、テレビ東京)
佐藤B作 - 大河ドラマ『八重の桜』（2013年、NHK）

参考文献

会津郷土資料研究所『慶應年間 会津藩士人名録』勉強堂書店
綱淵謙錠『戊辰落日』文藝春秋

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