カール・ロベルト・シュタインメッツ
カール・ロベルト・シュタインメッツは、
田中芳樹のSF小説『
銀河英雄伝説』に登場する、銀河帝国の主要人物の一人です。作中では「シュタインメッツ」と呼ばれています。
概要
シュタインメッツは、ローエングラム陣営の主要提督の一人として、一流の用兵家・将帥と評価される、気骨に満ちた軍人です。主要提督の中では年長者に属し、初代ブリュンヒルトの艦長としてラインハルトと本編開始以前から関係がありました。ラインハルトからの信頼が厚い人物ですが、他の提督に比べると登場回数は多くありません。旗艦は『フォンケル』です。
本編での初登場は、レンネンカンプ、アイゼナッハと共に遅く、第8次イゼルローン攻防戦におけるワープ実験(第3巻)で名前のみ登場し、本格的な登場は第一次ラグナロック作戦中のライガール・トリプラ両星域の会戦(第5巻)です。ただし、本編での時系列上はリップシュタット戦役後にラインハルト麾下に入ったとされ、OVA版ではこの設定と外伝での設定を受けてリップシュタット戦役途中から登場します。物語全体の時系列上の初登場は第4次ティアマト会戦(外伝『星を砕く者』)です。また、創元SF文庫の登場人物説明では、第8巻での死亡後の第9巻で初めて名前が登場します。
略歴
正確な軍歴は不明ですが、古くから辺境防備の任に務め武勲を立てていたものの、門閥貴族ではなかったために中将止まりだったとされています。第4次ティアマト会戦において、ラインハルトの乗艦ブリュンヒルトの初代艦長に任命され作中に登場します。当時は大佐でした。この戦闘中、艦長の職分を侵す行為をしたラインハルトを物怖じせず諌言したことで、彼やキルヒアイスから一目置かれます。アスターテ会戦では、反ラインハルト派の思惑によって他のラインハルトの子飼いの部下と同様に異動となり、再び辺境星域勤務となっていました。
リップシュタット戦役において、担当していた辺境地域を提供することで、ラインハルトの元帥府に登用されます。OVA版においては、戦役中に辺境地域の平定を担当していたキルヒアイスに、自らの担当地域を平定して中将待遇で合流したことになっています。また、この際に、自身が聞いた噂としてラインハルトがヴェスターラント核攻撃を黙認したという疑念をキルヒアイスに伝えます。
第一次ラグナロック作戦において、第4陣で一個艦隊を指揮します。ライガール・トリプラ両星域の会戦においてヤン艦隊と戦い、用兵巧者であるがゆえに彼の罠に嵌り、艦艇8割喪失の大敗北を喫します。しかし、ブラックホールを利用したスイングバイ航法で最低限の損害にまで抑え込みました。
ローエングラム王朝成立後、帝国領となったガンダルヴァ星域方面司令官となり、惑星ウルヴァシーに駐屯します。ヤン逮捕に始まるレンネンカンプ拉致といった諸問題については、当時同盟内に配属されていたローエングラム朝の最高幹部として、即座に高等弁務官の代行に任命され、同盟政府やヤンらと交渉し、レンネンカンプの遺体返還などの任にあたります。直接同盟政府の責任を追及するためにハイネセンへ赴こうとし、レンネンカンプと同様に誘拐されることを恐れた部下に対し、自らをハイネセンごと吹き飛ばせばそれで済むと答えたというエピソードが後に明かされます。
ハイネセンの制圧では主力としてこれを実行し、レベロの葬儀委員長を務めます。大本営幕僚総監に任命され、回廊の戦いにおいて、本隊を構成する一個艦隊の司令として参加します。ラインハルトの旗艦を急襲しようとしたヤン艦隊とメルカッツ艦隊に対して防御陣を敷いて勇戦しますが、乗艦が集中砲火を浴びて戦死します。
戦死直後に特進で元帥となり、ジークフリード・キルヒアイス武勲章にファーレンハイトと共に授与されます。また、彼と、この時点で亡くなっていた他の2人の元帥(キルヒアイスとファーレンハイト)にちなんで、新要塞「三元帥の城(ドライ・グロスアドミラルスブルク)」に名を残します。
人物・能力
シュタインメッツは、作中では敗北した戦闘も含めて一貫して一流の用兵家・将帥と評価され、メックリンガーの回顧録ではファーレンハイトと共に「勇敢さと有能さにおいて苦情のつけようもない軍人」と記述されています。また、「ことに忠誠心と卑屈さとの区別を厳然とわきまえていた」と称えられています。同盟領に駐屯している時も、軍律に厳しく、同盟に対する配慮も怠らなかったとされています。ラインハルトからも高く評価されていました。
シュタインメッツに対する批判的な記述や描写は作中にはありません。
私生活では独身でしたが、グレーチェン・フォン・エアフルトという女性と5年にわたり内縁関係にありました。内縁にとどめたのは、ラインハルトが結婚していないことを憚ったためです。
声優
石丸博也(OVA版)
青山穣(Die Neue These)