カーロイ1世 (ハンガリー王)

カーロイ1世

カーロイ1世（Károly I、1288年 - 1342年7月16日）は、1308年から1342年までハンガリー王として在位した。彼はアンジュー＝シチリア家の出身で、ナポリ王子カルロ・マルテッロの子であり、ナポリ王カルロ2世の孫でもある。カーロイ1世のイタリア名はカルロ・ロベルト・ダンジョ（Carlo Roberto d'Angiò）である。

即位の経緯

カーロイ1世は即位まで多くの試練を乗り越えた。父カルロ・マルテッロとの関係もあって、彼はアールパード朝のハンガリー王イシュトヴァーン5世の娘、マーリアを母に持つ。父の死後、彼は自らもハンガリー王位の継承権を主張し、教皇の承認を得てまずはクロアチア王としての地位を確立した。1300年、彼はザグレブで戴冠し、続いてハンガリー王位を主張することになったが、しばらくの間は他の王族との争いによって難航を極めた。1309年にはブダでハンガリー王として即位したが、正規の戴冠ではなかったため、正式には認められなかった。

その後、1310年に再び戴冠し、ようやく正当な王となるが、即位直後は反乱に直面。その3年後、カーロイ1世はロザノヴツの戦いで決定的な勝利を収め、国全体を平定した。この勝利によって彼は名実ともにハンガリーの支配者となった。

治世の改革

彼の治世は強力な統治と改革によって特徴付けられる。カーロイ1世は貴族の権限を抑制し、必要に応じて地方の有力貴族に権限を与えることで、中央集権的な体制を築いた。また、褒賞制度を導入し、忠実な家来に官職を付与した。この制度により、王に対する忠誠心が高まり、貴族は王家の城や土地を管理する役割を担った。

経済面でもカーロイ1世は重要な改革を行った。彼はインフレーションを抑制するため、純度の高い金貨を発行し、新たに設立した造幣工場によって銀貨を流通させた。これにより商業が活発化し、国家の財政も安定した。カーロイ1世の施策は、街や経済の成長を促し、治安の向上にも寄与した。

外交政策と領土拡大

カーロイ1世の外交政策は同盟の構築に重きを置いていた。特に、ハプスブルク家に対抗するためにポーランド王カジミェシュ3世やボヘミア王ヨハン・フォン・ルクセンブルクとの連携を深めた。1335年にはトレンチェンで友好的な会合を開き、地域の安定を図った。ハンガリーとポーランドの連合軍は、神聖ローマ皇帝ルートヴィヒ4世と対立するオーストリア公アルブレヒト2世を攻撃し、1337年の戦いで勝利を収めた。

家族とその後

カーロイ1世は3度結婚した。初めにビトム公カジミェシュの娘マリアと結婚し、彼女との間に娘をもうけた。次に神聖ローマ皇帝の娘ベアトリクスと結婚するが、早くに母子共に亡くなってしまった。最後にポーランド王の娘エルジュビェタと結婚し、彼らの間には複数の子供が誕生した。特に長男ラヨシュ1世は後にハンガリー王およびポーランド王となり、彼の父の意志を引き継いで国の発展につくした。

カーロイ1世は1342年に亡くなり、アールパード家の墓地に葬られた。彼の治世はハンガリーの強化と領土の拡大を図った時代であり、後の世にも大きな影響を与えることとなる。

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