アンジュー＝シチリア家

アンジュー＝シチリア家の歴史

アンジュー＝シチリア家は、フランスの王家であるカペー家の一支流で、特にアンジュー家の中で第3の系統とされます。この家系は、フランス王ルイ9世の弟であるシャルル（アンジュー伯）の創始によって成立しました。シャルルは、1266年にシチリア王として即位し、以降この家系はアンジュー＝シチリア家と呼ばれるようになりました。

シチリアからナポリへ

シャルルがシチリア王位につくも、1282年にはシチリア島を失ってしまいます。しかし、家系としては名目上シチリア王を名乗り続け、国名に「シチリア王国」を掲げながらも、実際にはナポリ王国の王家として存続していきました。シャルルの子息であるカルロ2世は、ナポリ王位を継承し、ロベルトを含む数多くの子供たちがこの家系から分かれていきました。

諸分家の成立

カルロ2世には多くの息子がいたため、アンジュー＝シチリア家からは様々な分家が誕生しました。その中でも長男のカルロ・マルテッロの子孫はハンガリー及びポーランドの王位を継承し、アンジュー＝ハンガリー家として知られています。また、ターラント公フィリッポ1世の家系はアンジュー＝ターラント家と呼ばれ、末息子ドゥラッツォ公ジョヴァンニの子孫はアンジュー＝ドゥラッツォ家を形成しました。

ナポリ王位の争い

ロベルトの系統では男系の男子が絶えてしまい、1343年には孫娘ジョヴァンナ1世が即位します。その後、親族間での政略結婚や武力、あるいは暗殺が絡む状況の中でナポリ王位を巡る激しく争奪戦が続きました。最終的には、アンジュー＝ドゥラッツォ家のカルロ3世が1382年にジョヴァンナ1世を殺害し、自ら王位を獲得しました。その後、カルロ3世はハンガリー王位も手に入れるものの、すぐに暗殺されました。

家系の断絶

カルロ3世の血筋は次第に絶え、1414年にはラディズラーオ1世が亡くなったことで、アンジュー＝シチリア家の男系男子は途絶えました。さらに、1435年のジョヴァンナ2世の死によってこの家系の男系は完全に断絶してしまいました。

ヴァロワ家との結びつき

カルロ2世の長女マルゲリータは、カペー家の別系であるヴァロワ家の先祖、ヴァロワ伯シャルルと結婚します。彼らの長男はフランス王フィリップ6世となり、次第にヴァロワ＝アンジュー家（第4のアンジュー家）が生まれました。さらに、ヴァロワ伯シャルルの2人目の妃カトリーヌはカルロ2世の姉の娘であり、ターラント公フィリッポ1世と結婚。3人目の妃との子供であるマリーはカラブリア公カルロと結婚するなど、アンジュー＝シチリア家とヴァロワ家は密接に関係していました。

このように、アンジュー＝シチリア家の歴史はシチリア王国とナポリ王国の王位を背景に複雑な系譜を持ち、数世代にわたる政略結婚や権力闘争が繰り広げられました。

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