ガイア〜新たなる旅立ち〜

『ガイア〜新たなる旅立ち〜』（Gaia: One Woman's Journey）

アルバム概要と制作背景

オリビア・ニュートン＝ジョンの通算16作目となるスタジオ・アルバム『ガイア〜新たなる旅立ち〜』は、1994年に発表されました。この作品は、1992年に乳がんの診断を受け、それを乗り越えた後の彼女にとって、病からの回復を経て初めてリリースされたアルバムであり、極めてパーソナルな内容を含んでいます。病と向き合った経験は、多くの楽曲制作に深く影響を与え、「ホワイ・ミー」や「心の誓い」といった収録曲には、自身の葛藤や内面の変化、生命への感謝といった率直な感情が反映されています。また、彼女が長年にわたり深い関心を寄せてきた自然環境保護への思いも、本作を貫く重要なテーマの一つとなっています。

特筆すべき点として、本作に収録されている全ての楽曲の作詞・作曲をオリビア自身が手掛けていることが挙げられます。これは、アーティストとしての自己表現が色濃く反映された、まさにセルフプロデュース作品と言えるでしょう。

楽曲の展開とメディアでの使用

アルバムからは、先行シングルとして「永遠の愛」(No Matter What You Do)がリリースされました。この楽曲は、オリビアの母国であるオーストラリアのシングルチャートで最高40位を記録する成功を収めました。

続いて、「ドント・カット・ミー・ダウン」(Don't Cut Me Down)がシングルカットされました。この曲は後に、映画『ラスト・パーティ』のサウンドトラックに採用されています。また、「自分を信じて」(Trust Yourself)という楽曲も複数のメディアで使用されました。オリビア自身が出演した映画『ソーディッド・ライヴズ』（2000年公開）と『ザ・ワイルド・ガールズ』（2001年公開）の劇中で使用されただけでなく、オリビアの生涯を描いたテレビ伝記映画のために、主演を務めたデルタ・グッドレムによってカバーバージョンが録音され、そのサウンドトラックに収録されたことも特筆される出来事です。

アルバム収録曲の中でも、「心の誓い」(Not Gonna Give into It)は特にファンからの支持を集め、1990年代後半以降に行われたオリビアのコンサートツアーにおいては、欠かせない一曲として頻繁に演奏される、文字通りの定番曲となりました。

商業的反響と再発

『ガイア〜新たなる旅立ち〜』は商業的にも一定の成功を収めました。オーストラリアのアルバムチャートでは最高7位を記録するヒットとなり、イギリスでは9年ぶりにアルバムチャートへの再ランクインを果たし、33位を記録しました。

日本盤CDは、シンガーソングライターの杏里が特別なライナーノーツを寄稿しており、日本のファンにとって魅力的な要素となりました。リリースから時を経て、2021年にはリマスター処理が施され、当時のオリジナルジャケットデザインを復刻した形で再発売されています。これは、本作がオリビアのキャリアにおける重要な位置を占める作品として、世代を超えて評価されていることの証と言えるでしょう。

収録曲

本作には以下の12曲が収録されています。

自分を信じて (Trust Yourself)
永遠の愛 (No Matter What You Do)
ノー・アザー・ラブ (No Other Love)
ペガサス (Pegasus)
ホワイ・ミー (Why Me)
ドント・カット・ミー・ダウン (Don't Cut Me Down)
ガイア (Gaia)
あなたにもわかるはず (Do You Feel)
真実の愛 (I Never Knew Love)
サイレント・ルーイン (Silent Ruin)
心の誓い (Not Gonna Give into It)
ザ・ウェイ・オブ・ラヴ (The Way of Love)

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