ガイウス・ウァレリウス・カトゥルス

ガイウス・ウァレリウス・カトゥルス（Gaius Valerius Catullus）は、紀元前84年頃に生まれ、紀元前54年頃に没したとされる、共和政ローマ期の著名な抒情詩人です。彼の作品は、主に恋愛をテーマとした詩が多く、特に『歌集』（Carmina）は後世に大きな影響を与えました。

カトゥルスの恋愛詩の特徴は、特定の女性「レスビア」に向けられたものが中心である点です。しかし、このレスビアという名前は仮名であり、実際には当時の貴婦人であったクローディア・メテッリではないかと広く考えられています。カトゥルスは、ギリシア詩壇の影響を強く受けており、その詩には精緻な修辞が用いられています。また、遊戯的な表現や軽快な筆致が特徴であり、恋の喜びや苦悩を巧みに表現しています。

カトゥルスの詩風は、初期ラテン文学における恋愛詩の分野を切り開いたものとして高く評価されています。彼の詩は、単に恋愛感情を歌うだけでなく、人間の感情の機微や複雑さを深く掘り下げています。特に有名なのは、『歌集』の第5歌で、「私のレスビア、共に生きよう、そして愛し合おう」という一節は、多くの人々に愛され、今もなお引用される名句です。

カトゥルスの作品は、後の時代の詩人や作家たちにも大きな影響を与えました。彼の作品は、時代を超えて読み継がれ、その普遍的なテーマや感情表現は、現代の読者にも共感を呼び起こします。また、カトゥルスの作品は、当時のローマ社会の風俗や文化を理解する上でも貴重な資料となっています。

カトゥルスは、その短い生涯の中で、数多くの優れた詩を残しました。彼の詩は、単なる恋愛詩の枠を超え、人間の感情や存在について深く考察するものであり、文学史における重要な位置を占めています。

参考文献
『ローマ恋愛詩人集』（中山恒夫訳、国文社、1985年）

外部リンク
Catullus Translations: カトゥルスの作品を中国語、日本語、その他多くの言語に翻訳したもの

関連項目
* カール・オルフ: カンタータ『カトゥーリ・カルミナ』（Catulli Carmina）（1943年）を作曲

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