ガイ・スティール・ジュニア

ガイ・ルイス・スティール・ジュニア（Guy Lewis Steele, Jr.、1954年10月2日 - ）は、アメリカ合衆国出身の計算機科学者であり、その多岐にわたる貢献で知られています。彼は、プログラミング言語の設計、並列処理、標準化活動において重要な役割を果たし、多くの書籍の著者としても活躍しています。彼の愛称である「The Great Quux」は、その卓越した才能を象徴しています。

経歴

ミズーリ州で生まれたスティールは、1972年にボストン・ラテン・スクールを卒業後、ハーバード大学で学士号（1975年）、マサチューセッツ工科大学（MIT）で計算機科学の修士号（1977年）と博士号（1980年）を取得しました。学術界でのキャリアをスタートさせ、カーネギーメロン大学で計算機科学の助教授を務めた後、シンキングマシンズ社に移籍しました。

シンキングマシンズ社では、シニアサイエンティストとして、並列版LISP言語であるLisp（スターリスプ）の開発に貢献しました。1994年にはサン・マイクロシステムズに移り、ビル・ジョイに請われてJavaチームに参加しました。これは、スティールが既存の言語に関する優れた解説を迅速に作成することで知られていたからです。Java言語仕様の策定と並行して、彼は並列アルゴリズムの研究、実装戦略、アーキテクチャ、そしてソフトウェアサポートの責任者も務めました。さらに、2005年には、サンで新たなチームを率いて、FORTRANを代替する高性能言語であるFortressの開発を開始しました。

業績

スティールの業績は、LISP言語とその実装に関する多数の論文に表れています。特に重要な貢献は、ジェラルド・サスマンとの共同でのScheme言語の設計です。また、Emacsのオリジナルコマンド群の設計や、TeXのWAITSからITSへの世界初の移植も手掛けています。コンパイラ、並列処理、言語に関する論文も発表しており、彼の書いた歌がACMのコミュニケーションズ誌に掲載されたこともあります。

プログラミング言語の標準化にも積極的に参加しており、ANSIでのC言語、FORTRAN、Common Lispの標準化に貢献しました。また、IEEEでのScheme言語標準化ワーキンググループにも参加しています。サン・マイクロシステムズでは、高性能FORTRANフォーラムを主催し、1993年5月にはHigh Performance Fortranの仕様を策定しました。

著書

スティールは、以下の書籍の著者または共著者として知られています。

『Common LISP 言語仕様書』（共訳、共立出版、1986年）
『COMMON LISP 第2版』（翻訳監修、共立出版、1992年）
『詳説C言語 H&Sリファレンス』（共著、日本ソフトバンク出版事業部、1989年）
『新・詳説C言語 H&Sリファレンス』（共著、ソフトバンク出版事業部、1994年）
『ハッカー英語辞典』（訳、自然社、1989年）
『ハッカーズ大辞典』（絵、アスキー、1995年、2002年）
『Java言語仕様』（共著、アジソン・ウェスレイ・パブリッシャーズ・ジャパン、1997年、ピアソン・エデュケーション、2006年）
『S・P・ハービソン3世とG・L・スティール・ジュニアのCリファレンスマニュアル』（訳、エスアイビー・アクセス、2008年）

これらの著作は、彼の深い知識とプログラミング言語に対する洞察力を示しています。

受賞

スティールの卓越した業績は、数々の賞によっても認められています。1988年にはACMグレース・ホッパー賞を受賞し、1994年にはACMフェローに選出されました。さらに、2005年にはDr. Dobb's Journal誌のエクセレンス・イン・プログラミング賞を受賞しています。

これらの受賞歴は、彼が計算機科学分野において重要な貢献を果たしてきたことを証明しています。

外部リンク

Poems (mostly parodies) from Guy Steele's student days

もう一度検索