ガジ・ガジエフ

ガジ・ムスリモヴィチ・ガジエフ

ガジ・ムスリモヴィチ・ガジエフ（Gadzhi Muslimovich Gadzhiev、1945年10月28日 - ）は、ロシア・ダゲスタン共和国出身の元サッカー選手であり、現在はサッカー指導者として活躍しています。

来歴

ソ連時代

ガジエフは、ダゲスタン自治ソビエト社会主義共和国のブイナクスクで生まれ、スパルタク・ハサヴュルトでユース時代を過ごしました。その後、レニングラード（現サンクトペテルブルク）の2つのクラブ、スパルタク・レニングラードとスコロホート・レニングラードでプレーしましたが、1965年に重度の近視のため、若くして現役を引退しました。

引退後は、スパルタク・ハサヴュルトでコーチとしての経験を積み、1973年にディナモ・マハチカラの監督に就任。1975年にはダゲスタンリーグで優勝を果たしました。その後、モスクワの大学でスポーツ心理学とトレーニングを学び、教育学の博士号を取得。そのままモスクワに留まり、1980年からCSKAモスクワでコーチとして活躍しました。

ソ連/ロシア代表

1978年からはソビエト連邦代表のスタッフとして、A代表やオリンピック代表のアシスタントコーチ、ナショナルトレセンの代表者、U-19およびU-16の監督などを歴任しました。ソビエト連邦崩壊後の1992年には、独立国家共同体(CIS)代表、バルセロナオリンピックEUN代表、そしてロシア代表のコーチを1992年から務め、20年近く代表スタッフとして活躍しました。コーチとして、1987年ワールドジュニアユース優勝、1988年欧州選手権準優勝、同年ソウルオリンピック金メダル獲得などに貢献しました。

ロシア以降

1999年、当時トップディヴィジョン（2部リーグ）に所属していたFCアンジ・マハチカラの監督に就任すると、いきなり優勝を果たし、トップリーグ（1部リーグ）へ昇格させました。さらに翌シーズンには4位入賞を果たし、UEFAカップ出場権を獲得。同年にはロシア最優秀監督に選出されました。

2002年には、その実績が評価され、ヴァレリー・ニポムニシからの推薦を受け、Jリーグのサンフレッチェ広島の監督に就任しました。しかし、自身初の海外での指揮であったことや、チームとのコミュニケーション不足から、チーム方針の相違や補強の失敗、選手との軋轢が生じ、さらに主力の長期離脱や不調も重なり、チームは下位に低迷。同年7月、シーズン途中に事実上解任されました。

2003年には、プレミアリーグから1部リーグに降格した古巣・アンジの監督に復帰しましたが、昇格を果たすことができず1年で退団。翌2004年からはクリリヤ・ソヴェトフ・サマーラの監督を務め、同年のロシア・カップでは準優勝を果たしました。

2007年5月からはサトゥルン・ラメンスコーエの監督に就任。下位に低迷していたチームを5位にまで引き上げ、チームを初のUEFAインタートトカップ出場に導きました。同シーズンにはロシア最優秀監督に再び選出されました。しかし、翌2008年は下位に低迷し、8月にロシアカップで早期敗退したことを機に解任されました。

2010年には、7年ぶりにアンジの監督に復帰。翌2011年1月、チームは大富豪スレイマン・ケリモフがオーナーとなり、ロベルト・カルロスやサミュエル・エトーといったビッグネームを獲得。同年9月、チーム成績が平凡なことから、監督にもビッグネームを招集することが決定し、ガジエフは解雇されました。

2012年6月には、この年からリーグが秋冬制となるロシア・プレミアリーグのFCヴォルガ・ニジニ・ノヴゴロドの監督に就任。同年12月、引き抜かれる形で同リーグのクリリヤ・ソヴェトフの監督に復帰しました。

2013年8月には、2年ぶりにアンジの監督に復帰し、4度目の就任となりました。このシーズン、アンジは緊縮財政で臨んでおり、エトーやウィリアン、ラッサナ・ディアッラ、ラシナ・トラオレなど主力が移籍・売却された中での監督就任でした。結果、一度も浮上することなく最下位に沈み、シーズン終了後にはファーストディヴィジョン（2部）に降格。2014年5月、責任を取る形で辞任しました。

2015年には、FCアムカル・ペルミが成績不振からスラヴォルユブ・ムスリン監督を解任し、後任としてガジエフが監督に就任しました。

ガジエフは、長年にわたりロシアサッカー界を支えてきた名指導者の一人として、その手腕は高く評価されています。

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