FCアンジ・マハチカラ

FCアンジ・マハチカラ：真珠の輝きと終焉

FCアンジ・マハチカラは、ロシア連邦ダゲスタン共和国の首都マハチカラを本拠地として活動した、かつて隆盛を誇ったサッカークラブです。クラブ名にある「アンジ」とは、クムク語で「真珠」を意味し、この地を古くからアンジと呼んでいたクムク人に由来します。

創設からプレミアリーグ昇格まで

1991年、アンジはダグネフテプロドゥクトのマゴメド・スルタン・マゴメドフと、FCディナモ・マハチカラに所属していたアレクサンドル・マルカロフによって創設されました。1999年にガジ・ガジエフが監督に就任すると、チームは躍進を遂げ、1部リーグ（実質2部）で優勝し、念願のプレミアリーグ初昇格を果たします。昇格初年度の2000年には4位に入る快挙を達成し、UEFAカップ出場権を獲得。ロシア・カップでも決勝に進出しますが、FCロコモティフ・モスクワとの激闘の末、PK戦で惜しくも敗れ準優勝に終わりました。

UEFAカップでは、9.11テロの影響で試合が中立地開催となり、レンジャーズFCに敗れました。2002年には1部リーグに降格し、その後は昇格と降格を繰り返しますが、2009年に1部リーグで優勝し、再びプレミアリーグの舞台へと返り咲きました。

ケリモフ時代：栄光と転落

2011年、アンジは転換期を迎えます。ロシアの大富豪スレイマン・ケリモフがオーナーに就任し、大型補強を敢行。ロベルト・カルロス、サミュエル・エトー、ジュジャーク・バラージュなど、世界的なスター選手を次々と獲得し、一躍注目を集めました。

フース・ヒディンク監督の就任もあり、2012-13シーズンにはリーグ3位となり、UEFAヨーロッパリーグ出場権を獲得。ヨーロッパリーグでは、リヴァプールFCなどの強豪ひしめくグループリーグを突破し、ベスト16に進出するも、ニューカッスル・ユナイテッドFCに敗れました。

しかし、2013年夏、ケリモフは突如としてクラブの規模縮小を発表。高額年俸の選手が放出され、チームは一転して弱体化します。2013-14シーズンは未勝利のまま降格が決定し、かつての輝きは失われてしまいました。

プロクラブとしての終焉

その後、アンジは下位リーグでの戦いを余儀なくされます。2022年6月3日、ロシアサッカー協会はアンジに対し、セカンドディビジョン（FNL2）でプレーするためのライセンスを付与しないことを決定。これにより、アンジはプロクラブとしての地位を失い、その歴史に幕を下ろしました。最後の試合となったFCロートル・ヴォルゴグラード戦では4-0で勝利し、ファンに別れを告げました。

タイトルと記憶

アンジ・マハチカラは、その短い歴史の中で、ロシア・ファーストディビジョンを2度制覇しました。また、ロベルト・カルロスやサミュエル・エトーといった世界的なスター選手が在籍したことでも知られています。クラブは消滅しましたが、その名前は、ロシアサッカー史に一つの足跡を残しました。

国内タイトル
ロシア・ファーストディビジョン：2回（1999, 2009）
国際タイトル
なし

歴代監督

ガジ・ガジエフ (1999-2001, 2003, 2010-2011, 2013-2014)
フース・ヒディンク (2012-2013)

主な歴代在籍選手

ロベルト・カルロス
サミュエル・エトー
ユーリ・ジルコフ
ウィリアン

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