ガチ☆ボーイ

映画『ガチ☆ボーイ』詳細解説

あらすじ

『ガチ☆ボーイ』は、北海道学院大学の学生プロレス団体HWAを舞台に展開します。かつて人気を博したHWAも、前チャンピオンの引退以来、低迷していました。そんな中、大学一の秀才と評判の五十嵐良一が、突如入部します。「マリリン仮面」と名乗り、熱心に練習に取り組む五十嵐でしたが、彼は眠るとその日の出来事を全て忘れてしまう高次脳機能障害を抱えていたのです。

プロレスの「お約束」や「段取り」を覚えられない五十嵐は、いつも真剣勝負。しかし、そのひたむきな姿は、周囲の人々を惹きつけ、HWAに新たな活力を与えていきます。事故で失ったはずの「生きる実感」を取り戻そうとする五十嵐の挑戦、そして彼を支える仲間たちの熱い友情が、物語の軸となります。

学プロリーグのチャンピオンチームから挑戦を受けたHWAは、五十嵐の覚悟と情熱を胸に、一大決戦に挑むことになります。記憶を失っても、身体が覚えているプロレスへの情熱を武器に、五十嵐はリングで輝きを放ちます。

主な登場人物

五十嵐良一/マリリン仮面 (佐藤隆太)
本作の主人公。法学部3年生で、事故による高次脳機能障害を抱えています。眠るとその日の記憶を全て失いますが、プロレスへの情熱を胸にリングに立ちます。事故前の記憶ではプロレスに感動した記憶があり、身体が覚えているプロレスに希望を見出し入部しました。
奥寺千尋/レッドタイフーン (向井理)
HWAの部長で、25代目チャンピオン。「安全第一」をモットーに、団体を盛り上げようと奮闘しています。
朝岡麻子 (サエコ)
HWAのマネージャーで、明るく元気な女性。五十嵐の障害について理解し、彼を支えます。五十嵐が好意を抱いている人物。
日野徹/ボラギノール日野 (西田征史)
HWAのレフェリー。危険な試合でも盛り上がればいいと考えています。ダジャレ好きですが、基本的に周りの人には受けません。
新沼雅人/玉子王子 (中谷竜)
HWAのメンバー。リングネームやコスチュームに不満を持っています。
谷絵津子/コケティッシュ谷 (久保麻衣子)
HWA唯一の女子レスラー。レッドタイフーンと恋人設定だが、実際には大久保と交際しています。
大久保俊也/デビルドクロ (小椋毅)
HWAのメンバー。寡黙な性格ですが、リング上では挑発的な発言をします。
五十嵐恒雄 (泉谷しげる)
五十嵐良一の父親で、銭湯を経営しています。息子の事故に戸惑い、関係がぎくしゃくしています。
五十嵐茜 (仲里依紗)
五十嵐良一の妹。兄を心配し、プロレスに反対でしたが、徐々に応援するようになります。
佐田正樹/ドロップキック佐田 (川岡大次郎)
HWAの元メンバーで、前チャンピオン。彼女にプロレスを辞めるように言われ、バンド活動をしています。HWAの試合を盛り上げる人気レスラーでした。
君島良伸/チョチョッピ君島 (宮川大輔)
HWAのOB。バーを経営しながら、試合の実況や覆面制作を担当しています。
金村琢己/シーラカンズ1号 (瀬川亮)
北海道学生プロレス連合の代表。HWAを連合に加入させるため、五十嵐との試合で八百長を強要しますが、五十嵐には通じません。
安藤銀次郎/シーラカンズ2号 (フジタ"Jr"ハヤト)
北海道学生プロレス連合所属の選手。金村とタッグを組み、スター選手として人気があります。

作品の特徴

記憶障害とプロレス: 主人公の記憶障害という設定が、単なるスポ根ドラマに深みを与え、観る者の心を揺さぶります。五十嵐のひたむきな姿は、勇気と感動を与えます。
青春群像劇: HWAのメンバーたちの友情や葛藤が、リアルに描かれています。それぞれのキャラクターが抱える悩みや喜びが、物語に奥行きを与えます。
笑いと感動: コミカルなシーンと、感動的なシーンがバランスよく配置されており、飽きることなく楽しめます。学生プロレスならではの熱い試合展開は、観る者を惹きつけます。

スタッフ

監督: 小泉徳宏
原作: 蓬莱竜太（舞台『五十嵐伝〜五十嵐ハ燃エテイルカ〜』）
脚本: 西田征史
音楽: 佐藤直紀
プロレス監修: 新崎人生
主題歌: チャットモンチー「ヒラヒラヒラク秘密ノ扉」
挿入歌: ウルフルズ「暴れだす」

受賞

映画館大賞「映画館スタッフが選ぶ、2008年に最もスクリーンで輝いた映画」第81位
ウーディネ極東映画祭 観客賞

総評

『ガチ☆ボーイ』は、記憶障害を抱えながらも、プロレスに情熱を燃やす青年の姿を描いた感動的な作品です。学生プロレスという舞台設定もユニークで、笑いと感動が詰まっています。友情、家族、そして生きる意味を問いかけるこの映画は、多くの人々の心に響くことでしょう。

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