ガド族

ガド族の概要

ガド族（ガドぞく）は、古代イスラエルの十二部族の一つで、その始祖はヤコブの7番目の息子であるガドです。彼はレアの女奴隷ジルパから生まれた最初の子供として知られています。ガド族はエジプトへの移住時にはすでに7人の子供を抱えていました。

歴史的背景

エジプトからの脱出の際、ガド族に属する20歳以上の男性軍人の数は合計で45,650人を数えました。しかし、2度目の人口調査ではその数が40,500人に減少しました。彼らはパレスチナに達する前、荒野でルベン族に隣接して宿営し、約束の地ではルベン族とマナセ族と共に羊飼いとして生活していました。ガド族は豊富な家畜を所有していたため、牧畜に適したヨルダン川の東側を自らの領土として求め、その地域を与えられました。

カナン人との戦いでは、ガド族はルベン族やマナセ族と共に戦う義務を負い、西パレスチナの征服作戦では先鋒として活躍しました。その戦いを終えた後、ヨシュアから祝福され、帰還を果たしています。ガド族、ルベン族、マナセ族は、自分たちがヨルダン川の反対側で生活する民と一体であることを示すために、大きな祭壇をヨルダン川の近くに築きましたが、この行為は律法に違反していたため、他の部族から反発を招くこととなりました。後に他の部族は調査団を派遣し、彼らが分裂活動を行っている疑いがないことを確認したため、和解がなされました。

ガド族の領土は、エモリ人の王シホンが統治していた地域で、北側にはマナセ族、南側にはルベン族が位置していました。北端はキネレテ湖、南端はヘシュボンまでがその領土に含まれ、ガド族の都市ディボンではモアブの石碑が発見されています。

日ユ同祖論とその議論

近年、日ユ同祖論が取り上げられることがあります。この理論の中で、小谷部全一郎は著書『日本及日本国民之起源』において、日本の天皇を意味する「ミカド」が元々「ミガド」と発音され、これが「御ガド」に由来するという主張を展開しました。また、ユダヤ教のラビであるサミュエル・グリーンバーグは、「ミカド」がヘブル語で「ガド族出身」を指すとし、日本皇室のルーツがガド族にあると述べています。

さらに、任那は「ミ･マナセ」、すなわちマナセ族の出自だと解釈されることもあれば、呼称「日本」や「ジャパン」がガド族の「ゼポンびと」に由来するとの見解もあります。ゼポンは英訳聖書からの言葉であり、ユダヤ人は「ゼ」を発音できないため、呼称は変化したとされています。これに基づき、日ユ同祖論の支持者たちは皇室の起源をガド族に求めていますが、最近ではこの説は学界では否定されることが多くなっています。

また、飛鳥昭雄は、ガド族の一部族がソロモンの秘宝であるアークを継承しており、それが日本にもたらされたとする説を提唱しています。このように、ガド族は様々な歴史的背景と憶測に包まれ、研究や議論の対象となっています。

参考文献

• - 『新聖書辞典』いのちのことば社、1985年

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