ガマの油

ガマの油とは

「ガマの油」とは、もともと江戸時代に傷治療のために使用されていた軟膏です。その後、筑波山の名物として土産物の一つになり、現在でも多くの人々に親しまれています。その成分にはワセリンなどが含まれており、様々な商品が展開されています。

ガマの油の歴史

「ガマの油」の起源は、豊臣秀吉の時代にさかのぼります。特に、大坂の陣では、徳川方の武士として従軍していた筑波山・中禅寺の住職である光誉上人が自身の陣中薬の効果を発揮したことがきっかけです。この薬の効果を評価されたことで、ガマの油の名も広まりました。「ガマ」とは、日本のヒキガエルを指し、そのことからも関連性が見て取れます。

ガマの油の成分については、いくつかの説があります。口上に見られる「鏡の前におくとタラタラと油を流す」ことから、ガマガエルの耳後腺または皮膚腺と関係があるとも言われています。一方で、光誉上人の顔がガマのようだったことに由来し、本当にガマガエル由来の成分が効果を示すかは疑問視されています。さらに、植物のガマの花粉である蒲黄、ムカデから取った蜈蚣、あるいは馬油が主成分とされることもあります。

現在は、蟾酥は医薬品として扱われており、製造や販売には薬剤師の資格が必要です。そのため、かつての「ガマの油」の形は少し変わってきています。

筑波山名物の変遷

かつて筑波山では、本物の蟾酥を含む「ガマの油」が製造されていましたが、戦後の規制によりその姿を消しました。しかし、地元の名物として「陣中膏」や「陣中油」と名付けられた商品が再登場し、現在でも市販されています。これらの商品は蟾酥を使用していないものの、歴史を讃えて作られています。

例えば、山田屋薬局ではアドレナリン液や紫根、ホウ酸、酸化亜鉛などを含む「陣中膏・一名ガマの油」を製造していましたが、1998年に閉店しました。一方で、種村製薬が提供する「陣中油」は、ワセリンやシコンエキスなどを含んでいます。

ガマの油売りの伝説

江戸時代には、ガマの油を路上で販売する香具師が、客を集めるために大道芸を披露していました。特に、新治村の永井兵助が筑波山の頂上で「四六のガマ」と呼ばれる霊的なガマガエルから油を取るという独自の話を創り出し、広めたと言われています。彼らの口上は様々な形で進化し、今日では伝統芸能として保存されています。

「四六のガマ」は自分を美しい存在だと思い込み、周囲の鏡に驚く様子から油が取れるという伝説が、客への説得材料となりました。香具師は刀を使ったパフォーマンスを通じて、ガマの油の万能性を誇示し、観客を魅了しました。このような伝統は現在でも「筑波山ガマ口上保存会」が存続し、活動を続けています。

ガマの油をテーマにした文化

ガマの油に関する口上は、古典落語でも数多く取り上げられています。特に『蝦蟇の油』や『高田馬場』が有名で、落語の中でガマの油売りのユニークな口上が聞けます。これらの演目は、多くの観客に笑いを提供し続けています。

結論

「ガマの油」は、単なる薬品にとどまらず、江戸時代から続く文化や伝統につながる重要な存在です。過去の歴史や民俗、さらには現代のエンターテインメントとも結びついているこの名物は、今後も多くの人々に親しまれ続けることでしょう。

もう一度検索