ガル

ガル（Gal）は、CGS[[単位系]]における加速度の単位であり、その名称は物理学者ガリレオ・ガリレイにちなんでいます。国際単位系（SI）では非推奨の単位ですが、日本では計量法により、地震動などの計測に限定して使用が認められています。

ガルの定義

SI単位系における加速度の基本単位はメートル毎秒毎秒（m/s²）です。ガルは、このSI単位の1/100にあたり、「メートル毎秒毎秒の百分の一」と定義されています。すなわち、1 Gal = 0.01 m/s² = 1 cm/s² となります。この定義から、ガルはCGS[[単位系]]に属する非SI単位であることがわかります。

単位記号

ガルの単位記号は「Gal」です。ガリレオ・ガリレイに由来するため、頭文字は大文字で表記します。また、1ガルの1/1000であるミリガルは「mGal」と表記されます。地球物理学などの分野では、より高精度の重力測定のために、マイクロガル（μGal）単位や、それ以下の単位が用いられることがあります。

ガルの使用

加速度のSI単位はm/s²ですが、地震関連の分野ではガルが頻繁に使用されます。日本の計量法では、第5条第2項において「重力加速度または地震に係る振動加速度の計測」に限定してガルの使用が認められています。また、1/1000のミリガルも使用が許可されています。キロガルやマイクロガルは、計量法上では使用が認められていません。

地球表面における重力加速度の標準値は、約9.80665 m/s²、すなわち980.665 Galと定められています。この値から、例えば981ガルを超える加速度が鉛直方向に加わると、固定されていない物体は床から浮き上がってしまうことがわかります。

地上における重力は、緯度や標高によって数ガル程度の差が生じます。また、地下構造の違いによって、数ミリガル程度の重力異常が観測されます。さらに、地球潮汐による変動が数百マイクロガル、地殻変動や地下水、マグマの移動などによって、数十マイクロガルから数マイクロガル以下の変動が検出されます。

自然現象としては、地震による表面最大加速度（PGA）に大きな値が生じます。過去の主な地震における最大加速度の例を挙げると、以下のようになります。

1995年 阪神・淡路大震災：891ガル
2011年 東日本大震災（宮城県栗原市）：2,934ガル
2016年 熊本地震（熊本県益城町）：1,580ガル
2024年 能登半島地震（石川県志賀町）：2,828ガル


観測史上最大の加速度は、2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震の際に、岩手県一関市厳美町祭畤で観測された4,022ガルです。この記録は「地震時に記録された最大加速度」としてギネス世界記録に認定されています。

Unicodeにおけるガル

Unicodeには、ガルを表す文字が収録されていますが、これはCJK互換用文字であり、既存の文字コードとの後方互換性のために収録されたものです。そのため、この文字の使用は推奨されていません。

まとめ

ガルは、地震などの加速度を計測する上で重要な単位です。非SI単位ではありますが、日本の計量法で認められており、地震学や地球物理学の分野で広く利用されています。

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