ガルシア1世 (ナバラ王)

ガルシア・サンチェス1世：ナバラ王国の激動期を統治した王

ガルシア・サンチェス1世（919年頃 - 970年2月22日）は、ヒメノ朝の第2代ナバラ国王（パンプローナ国王）として、925年から970年まで在位しました。父であるサンチョ1世の跡を6歳という若さで継ぎ、叔父のヒメノ・ガルセスと母のトダ・デ・パンプローナの後見のもとで国を治めました。

生涯

ガルシア1世の治世は、周辺のキリスト教国やイスラム勢力との複雑な関係に彩られています。彼の母である王妃トダは、巧みな外交手腕を発揮し、娘たちをレオン王国の王たちと結婚させることで、キリスト教国間の同盟を強化しました。この同盟網は、共通の敵であるイスラム勢力に対抗する上で重要な役割を果たし、パンプローナ王国の勢力拡大に大きく貢献しました。

しかし、国内では王位を巡る争いも絶えませんでした。叔父のヒメノ・ガルセスが死去した後、ガルシア1世の父の異母兄であるイニゴ・ガルセスが王位を簒奪しようと画策しました。これに対し、ガルシア1世は母トダと共に、自らの王位を確立するために奔走しました。

934年、コルドバのカリフであるアブド・アッラフマーン3世がレオン王国に侵攻すると、ガルシア1世は母トダの使節を通じてカリフとの交渉を試みました。トダは、自身と息子の保護を求めると同時に、カリフにガルシア1世の王位を明確に認めさせることを目指しました。アブド・アッラフマーン3世は、トダの誠意を示す証として、カラオラの自身の陣営で会見することを要求しました。トダはこれを受け入れ、カリフに臣従を誓うことで、ガルシア1世の王位を保証してもらうことに成功しました。

その後、ガルシア1世はレオン王ラミロ2世と同盟を結び、アブド・アッラフマーン3世に対抗しました。939年には、シマンカスの戦いでキリスト教軍がカリフ軍を破り、形勢は逆転しました。941年には、ラミロ2世とアブド・アッラフマーン3世の間で和平交渉が行われ、ガルシア1世もこの和平に加わることとなりました。

ラミロ2世の死後、パンプローナ王国はレオン王サンチョ1世を支援しましたが、カスティーリャ伯フェルナン・ゴンサレスとの関係が悪化しました。フェルナン・ゴンサレスは、サンチョ1世を退位させ、オルドーニョ4世を王位に就けようとしました。これに対し、ガルシア1世はレオン王国に介入し、フェルナン・ゴンサレスを捕らえ、サンチョ1世を復位させました。その後、ガルシア1世の娘ウラカとフェルナン・ゴンサレスが再婚することで、両家の同盟関係は回復しました。

970年2月22日、ガルシア1世は死去し、ビジャマヨール・デ・モンハルディンにあったサン・エステバン・デ・デヨ城に埋葬されました。

結婚と子女

ガルシア1世は、生涯に2度の結婚をしました。

最初の妻は、アラゴン伯ガリンド2世・アスナーレスの娘であるアンドレゴト・ガリンデスです。彼女との間には、後のパンプローナ王であるサンチョ・ガルセス2世と、トダ・ガルセスという2人の子供が生まれました。しかし、942年にガルシア1世はアンドレゴトと離婚し、彼女はアイバルの自身の領地に隠棲しました。

2番目の妻は、レオン王ラミロ2世の娘であるテレサです。彼女との間には、初代ビゲラ王となったラミロ・ガルセス、ヒメノ・ガルセス、そしてカスティーリャ伯フェルナン・ゴンサレスと結婚したウラカ・ガルセスという3人の子供が生まれました。

ガルシア・サンチェス1世は、激動の時代を生き抜き、ナバラ王国の勢力拡大に貢献した王として、歴史に名を残しています。

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