ガルシア2世 (ナバラ王)

ガルシア・サンチェス2世：ナバラ王国の統治者

ガルシア・サンチェス2世（García Sánchez II, バスク語: Gartzea II. a Santxez, 没年1000年頃）は、10世紀後半のナバラ王国の国王であり、アラゴン伯でもありました。994年から1000年頃まで在位し、父であるサンチョ・ガルセス2世と母ウラカ・フェルナンデスの血を引いています。彼はヒメノ家において、アラゴン伯となった2番目の人物です。

後世の歴史家からは「臆病王（el Temblón）」と呼ばれることもありますが、この異名は元々祖父であるガルシア・サンチェス1世のものであった可能性も指摘されています。

生涯

ガルシア・サンチェス2世の治世は、カスティーリャの外交政策と密接に連携していました。母ウラカがカスティーリャ伯サンチョ・ガルシアや有力貴族ガルシア・ゴメス・デ・カリオンの叔母であったことが、この関係を深める一因になったと考えられています。ウラカはナバラ王国とカスティーリャ伯との橋渡し役として重要な役割を果たしました。

彼は従兄弟サンチョとともに、父サンチョ・ガルセス2世がコルドバの後ウマイヤ朝に示した服従から脱却しようと試みましたが、結果として後ウマイヤ朝の支配者アル・マンスールとの戦いを余儀なくされました。996年にはコルドバで和平を結ぶことになりました。

997年、カラタユー領内への遠征中に、ガルシア・サンチェス2世は現地の領主の弟を殺害。これに対し、アル・マンスールは50人のキリスト教徒を斬首することで報復しました。

1000年7月、サルベラの戦いにおいて、ガルシア・サンチェス2世はサルダーニャ伯ガルシア・ゴメスと共に、カスティーリャ伯サンチョ・ガルシア率いる同盟軍に加わりましたが、アル・マンスールに敗北を喫しました。この戦いでカスティーリャ伯サンチョが軍を率いたことは、ガルシア・サンチェス2世の勢力衰退を反映していると見られています。

伝承によれば、ガルシア・サンチェス2世は1002年のカラタニャソルの戦いにおいて、キリスト教徒側の指導者の一人として参加し、アル・マンスールの死とそれに続く後ウマイヤ朝の衰退を招いたとされています。しかし、1000年以降のガルシア・サンチェス2世に関する同時代の記録はほとんど残っておらず、従兄弟であるビゲラ王サンチョ・ラミレスが1002年にパンプローナで統治を行っていた可能性も指摘されています。ガルシア・サンチェス2世が1004年に息子サンチョ3世が王として登場するまでには亡くなっていたことは確実です。

国内政治においては、アラゴンの統治を弟ゴンサロに委ね、母ウラカがその後見役を務めました。また、伝承によると、ガルシア・サンチェス2世は王国に拘束されていた全てのイスラム教徒の捕虜を解放したと伝えられています。

結婚と子女

ガルシア・サンチェス2世は、レオン王国の有力貴族であるセア伯フェルナンド・ベルムーデスの娘ヒメナ・フェルナンデスと結婚しました。二人の間には以下の子女が生まれました。

サンチョ3世（990/92年 - 1035年） - ナバラ王、アラゴン伯
エルビラ - レイレ修道院の修道女
ガルシア
ウラカ（没年1031年） - 1023年にレオン王アルフォンソ5世と結婚

ガルシア・サンチェス2世の治世は、周辺国との複雑な関係の中で、王国の維持と安定に尽力した時代でした。彼の政策や行動は、後世のナバラ王国の歴史に大きな影響を与えました。

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