ガルタイト (めっき)

ガルタイトについて

ガルタイトは、溶融亜鉛に5%のアルミニウムを加えた合金めっき鋼板を指し、特に耐食性に優れています。この製品は商標に由来し、一般に「ガルファン」とも呼ばれることがあります。日本工業規格（JIS）では、JIS G3317として規定されています。

1. 重要な特性

ガルタイトは、めっき層の亜鉛が水中の腐食環境で先に溶け出すことで、元の鋼の腐食を防ぎます。このプロセスは「犠牲防食」として知られ、亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が高いため、効果的に保護します。加えて、ガルタイトは5%のアルミニウムを含むことで、亜鉛の効果に不動態機能が付加され、耐食性は通常の純亜鉛めっきに比べて2〜4倍に向上します。

また、微量のマグネシウムが含まれていることで、性能がさらに強化されることが許されています。この他に、同様の合金めっきとしてガルバリウム（GL）がありますが、GLが持つ耐食性は一般的に優れています。それに対して、ガルタイトは特に耐アルカリ性に優れ、畜舎などのアルカリ環境下で有用です。

2. 加工性と美観

ガルタイトのめっき層は柔らかく、加工にも優れており、折り曲げやその他の作業が容易です。また、塗料の密着が良好で、様々なカラー鋼板の基材としても利用されています。しかし、めっき表面では独特な亀甲模様が形成され、光沢も落ち着きがありますが、環境によって黒く変色する「黒変」が起こりやすいことが美観上の課題となっています。この特性は、ガルタイトの使用量が減少している一因とされています。

3. 現在の動向

GLの普及が進む一方で、ガルタイトの生産量は日本国内では僅少となっていますが、改良された製品が各メーカーで開発され、流通しています。特に、ヨーロッパではGFの特性を活かした使用事例があり、依然として一定の需要があります。

3-1. 派生製品

日本の鉄鋼メーカーでは、ガルタイトを基にして耐食性を向上させた独自製品が多数存在します。具体的な製品には以下が含まれます。

• - ZAM（ザム）: 日新製鋼が開発したもので、亜鉛と6%のアルミニウム、3%のマグネシウムの合金を使用し、通常のガルタイトと比較して耐食性が5〜8倍に向上しています。
• - スーパーダイマ: 新日本製鐵が開発した製品で、亜鉛にアルミニウム（11%）、マグネシウム（3%）を追加した合金です。耐食性はほぼGLと同等とされています。
• - KOBEMAG: 神戸製鋼所が出したZAM同等品で、特許と製造ノウハウを基にした製品です。
• - エコガル: JFE鋼板が開発した製品で、通常のガルタイトに微量のマグネシウムとニッケルを加えた合金です。JIS規格品の位置付けとして重要です。

4. 用途および流通

ガルタイトは金属屋根やサイディング材、カラー鋼板といった用途に広く用いられてきましたが、現在では主にメーカーの独自製品が市場を占めています。例えば、ZAMとSDは汎用性が高く、特にプレハブ住宅や機械部品、太陽光発電の構造部材として重宝されます。

製造過程は普通鋼に溶融めっきを施すもので、本来のガルタイトを製造しているのはほぼ淀川製鋼のみですが、独自製品は各メーカーが手掛けています。しかし、一般市場では情報が乏しく、直接交渉が必要なケースも多々あります。

5. まとめ

ガルタイトおよびその派生製品は、優れた耐食性と加工性から多様な用途に適していますが、環境への適応能力や美観に配慮が求められます。新しいJIS規格の導入により、今後の発展が期待されています。

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