ガルワール王国

ガルワール王国は、9世紀にラージプートのカナク・パールによって建国された、北インドのガルワール地方を支配したヒンドゥー王朝です。その歴史は、幾度かの支配者の交代と、周辺諸国との衝突によって彩られています。

建国からネパールによる占領まで

建国後、ガルワール王国は徐々に勢力を拡大していきました。しかし、18世紀末になると、ネパール王国の摂政バハドゥル・シャハが、武将ダモダル・パンデとアマル・シンハ・タパに西方遠征を命じ、その軍勢がガルワールへと侵入。ネパール軍はアクラナンダ川を越え、首都シュリーナガルにまで到達しました。

1792年、清・ネパール戦争が勃発すると、ネパール王国は極西に進出していたアマル・シンハにガルワール王国と講和するように命じ、一時撤退。しかし、清との講和後、再び西方に進出し、1804年にはアマル・シンハの軍勢がアルモーラー地方を越えて、ガルワールを制圧しました。この戦いでガルワール王は戦死し、王国は1814年までネパール王国の占領下となりました。

イギリスの保護下へ

1814年、イギリスとネパール王国の間でグルカ戦争が勃発すると、ガルワールにもイギリス軍が侵攻。ネパール軍はアマル・シンハとその息子ラナジョール・シンハ・タパの下で抵抗しましたが、ガルワール王国もイギリス側として参戦しました。そして1815年4月21日、ガルワール王国はイギリスと軍事保護条約を締結し、イギリス従属の藩王国となりました。

同年5月、アマル・シンハはイギリスと講和し、彼と息子の財産を保証する代わりに、ガルワール地域の塞を英軍に明け渡すこととなりました。これにより、ガルワール王国はイギリスの保護下で存続することとなりました。

インドへの併合

1947年8月15日、インド・パキスタン分離独立時、ガルワール藩王国はインドへと併合され、その歴史に幕を閉じました。

ガルワール王国の首都は、時代とともに変遷しています。デーヴァルガル(1500年-1519年)、シュリーナガル(1519年-1804年)、テヘリー(1815年-1862年)、プラタープナガル(1862年-1890年)、キールティナガル(1890年-1925年)、ナレーンドラナガル(1925年-1948年)と、各時代の状況を反映した都市が選ばれてきました。

ガルワール王国の歴史は、北インドの激動の時代を象徴するものであり、その興亡は、周辺の国々との関係の中で、複雑に絡み合いながら展開していきました。その足跡は、現代のインド社会にも影響を与え続けています。

参考文献

佐伯和彦『世界歴史叢書 ネパール全史』明石書店、2003年。

関連項目

ガルワール
* ネパール王国

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