ガンドルフォ城

カステル・ガンドルフォは、イタリアのローマ県にある町、カステル・ガンドルフォにある城です。この城は、教皇宮殿（Palazzo Pontificio または Palazzo Apostolico）としても知られ、かつては多くの教皇が夏の避暑地として利用していました。しかし、2016年10月からは博物館として一般公開されています。

教皇の避暑地としての歴史

カステル・ガンドルフォの教皇宮殿は、ウルバヌス8世の時代に建設が始まりました。1870年まで拡張が続けられ、教皇の夏の別荘としての役割を担っていました。しかし、教皇国家の終焉とともに、教皇たちはイタリア国家への抵抗を示すためバチカンに留まるようになり、他の宮廷を手放しました。

1929年、バチカン市国の誕生とともに、カステル・ガンドルフォの教皇別荘群は教皇の特別領土となり、ピウス11世の財産となりました。これにより、教皇たちは再びこの地を避暑地として利用するようになりました。その後、教皇たちは例年7月から8月にかけて約1ヶ月程度、休暇と避暑のために訪れることが恒例となりました。ただし、スケジュールによって時期や期間は変動していました。中には、パウロ6世のように当地で生涯を終えた教皇もいます。

2013年2月には、教皇を辞任したベネディクト16世が引退直後の一時滞在先として利用し、後任のフランシスコとの初会談の場ともなりました。

現在、カステル・ガンドルフォにはチーボ荘（Villa Cybo）とバルベリーニ荘（Villa Barberini）の庭園があり、合計約55ヘクタールに及ぶ広大な別荘と農園を形成しています。この農園では、毎朝、教皇宮殿に新鮮な野菜、果物、牛乳、鶏肉などが届けられ、教皇をはじめとする教皇庁職員に提供されています。特に牛乳は1日あたり約1キロリットル生産され、余剰分はバチカン内のマーケットや近隣の商店にも流通しています。

観光地・博物館としての転換

2013年5月にベネディクト16世がバチカンに戻った後、カステル・ガンドルフォに大きな変化が訪れました。フランシスコは同年夏にこの地を訪れないことを発表し、7月と8月に日帰りで訪問したのみで、その後は一度も訪れていません。その一方で、フランシスコはカステル・ガンドルフォを一般公開することを決定しました。

まず、2014年春にはバルベリーニ荘の庭園が一般に開放され、バチカン美術館主催のツアーで訪問できるようになりました。さらに2015年秋には、城の一部が博物館として改装され、バチカンからの観光列車がカステル・ガンドルフォ駅まで運行を開始しました。そして2016年10月22日には、教皇の寝室を含む公開範囲が拡大され、一般公開が本格的に始まりました。現在では、多くの観光客がカステル・ガンドルフォを訪れ、その歴史と美しさに触れることができます。

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