ガーダントヘルス

ガーダントヘルス（Guardant Health Inc.）は、アメリカ・カリフォルニア州レッドウッドシティに拠点を置く、革新的なスタートアップ企業です。同社は、ヘルミー・エルトーキーとアミールアリ・ハジホセイン・タラサズによって設立され、世界で初めて包括的なリキッドバイオプシー（液体生検）を製品化しました。

概要

ガーダントヘルスは、血液サンプルを用いた革新的ながん診断技術の開発に取り組んでいます。エルトーキーCEOは、「人体の複雑さと、それを理解するためのデータ不足」を課題として捉え、「簡単な検査でいつでもデータにアクセスできる」ことが、がん治療におけるゲームチェンジャーになると述べています。同社は、5年以内に100万人以上のがん患者の腫瘍遺伝子を解析する計画を掲げ、ビッグデータを活用することでがん治療の進歩を加速させ、早期がん発見のための血液検査開発を推進することを目指しています。

日本国内では、がんゲノム診断は自由診療扱いとなり、1回の検査に数十万円から百万円程度の自己負担が必要となるため、技術の進歩による費用低減が強く期待されています。この血液検査の有望性に、国も注目しており、2017年12月より、がん遺伝子検査プロジェクト「SCRUM-Japan」において、ガーダントヘルスと共同で血液検査の精度検証が行われています。この検証結果次第では、保険適用対象となる可能性も視野に入っています。

Guardant360

ガーダントヘルスが提供する「Guardant360」は、わずか20mL（試験管2本分）の血液サンプルを用いて、73種類のがん関連遺伝子を網羅的に解析する遺伝子検査法です。この検査では、血液中に存在する腫瘍由来の遊離DNA（cfDNA）を取り出し、腫瘍のゲノムを解析することで、乳がん、肺がん、皮膚がん、前立腺がんなど、様々ながんに対応した最適な治療法を特定することができます。

従来のがん生検は、内視鏡や針を用いて生体組織を採取する必要があり、患者への身体的負担が大きく、繰り返し実施することが困難でした。しかし、「Guardant360」は、血液サンプルを採取するだけで済むため、患者への負担を大幅に軽減し、繰り返し検査を行うことが可能です。また、麻酔のリスクや、採取ミスによる不検出のリスクも回避できるため、検査にかかるコストや時間も大幅に削減できます。ただし、現時点では、この検査方法はあくまでも従来の検査方法を補完するものであり、代替するものではないと考えられています。

沿革

2012年 - ガーダントヘルス創業
2014年2月11日 - 「Guardant360」を発表
2014年4月22日 - シリーズBでKhosla Ventures、Sequoia Capitalから3,000万ドルを調達
2014年5月30日 - アメリカ合衆国でサービス開始
2015年2月3日 - シリーズCでLightspeed Venture Partners、Formation8、Khosla Ventures、Sequoia Capitalから5,000万ドルを調達
2015年8月19日 - がんデータ解析ソフトウェアを手掛けるFlatiron Health社と提携
2016年1月7日 - シリーズDでOrbiMed、Khosla Ventures、Sequoia Capital、Lightspeed Venture Partners、Pejman Mar、Formation8、Heritage Groupから1億ドルを調達
2017年5月11日 - シリーズEでソフトバンクグループ、Khosla Ventures、Sequoia Capitalから3億6,000万ドルを調達
2017年8月28日 - 日本国内で初めて東京医科歯科大学医学部附属病院が「Guardant360」を含んだ医師主導臨床試験「PROFILE試験」を開始
2017年12月 - 国立がん研究センターが肺がん遺伝子スクリーニングネットワーク「LC-SCRUM-Japan」でGuardant360を用いた研究を開始
2018年10月4日 - NASDAQに上場

関連項目

生体組織診断
血液検査
Theranos

外部リンク

* Guardant Health

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