キウス周堤墓群

キウス周堤墓群

キウス周堤墓群は、北海道千歳市にある縄文時代後期（約3200年前）の集団墓地です。石狩低地帯を見渡せる緩やかな斜面に、8基の墓が点在しています。その特異な形状と規模から、1979年に国の史跡に指定され、2021年には「北海道・北東北の縄文遺跡群」としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。

概要

各墓は「-号」と番号が振られており、周堤と呼ばれる堤で囲まれているのが特徴です。これは、円状に土を掘り、その土を周囲に盛り上げて作られたと考えられています。現在確認できる墓は、盛土遺構や建築物の跡も見られ、当時の様子を垣間見ることができます。

出土品としては、土器や木製品などがあり、北海道立埋蔵文化財センター（江別市）で保存・展示されています。これらの出土品は、縄文時代の生活や文化を知る上で貴重な資料となっています。

学説史

キウス周堤墓群は、1901年に河野広道によって「チャシ」として報告されました。その後、鳥居龍蔵はツングース族の砦跡であるという説を唱えましたが、原田二郎が土層断面の観察からチャシ説に疑問を呈しました。

1948・49年には河野広道が環状土籬という概念を提唱し、1964年には大場利夫・石川徹が1・2号墓を発掘調査しました。1977年には木村英明が恵庭市柏木B遺跡などの発掘調査から、共同墓地としての性格を明らかにしました。これにより、周堤墓や竪穴墓という呼称が用いられるようになりました。

詳細データ

史跡面積: 約5万平方メートル
史跡指定日: 1979年10月23日
最大墓: 直径75m、高さ5m、深さ（墓穴）2m
所在地: 北海道千歳市中央410-2他
管理: 千歳市役所教育委員会埋蔵文化財センター

まとめ

キウス周堤墓群は、縄文時代の墓制や社会構造を研究する上で重要な遺跡です。その規模の大きさ、独特の形状、そして出土品から、当時の人々の精神世界や文化を知ることができます。世界文化遺産に登録されたことで、その価値は国際的にも認められ、今後の研究や保存活動が期待されています。

参考文献

田中琢・佐原真編集代表『日本考古学事典』三省堂 2003年2月 ISBN 4-385-15835-5

関連項目

ウサクマイ遺跡群
北海道・東北地方の史跡一覧
北海道・北東北の縄文遺跡群

外部リンク

千歳市ホームページ、千歳の文化財、キウス周堤墓群)

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