キカプー

キカプー族

キカプー族は、アルゴンキン語族に属するアメリカインディアン（ネイティブアメリカン）部族です。その歴史は、幾度もの大規模な移動と困難な適応の連続であり、現在も独自の文化を守りながらアメリカ合衆国とメキシコにその共同体が存在しています。彼らは、かつて五大湖周辺にいた東部インディアン部族の中で、現代まで存続する数少ない部族の一つです。

歴史

キカプー族の原郷は、北米五大湖周辺、現在のミシガン州にあたる地域でした。彼らは同じアルゴンキン語族のソーク族やフォックス族と近しい関係でした。17世紀半ば、1640年代以降の強力なイロコイ族との紛争により、部族は西のウィスコンシン州へと移動を余儀なくされました。

18世紀にはさらに南下し、1770年頃には現在のウォバッシュ川流域やイリノイ州中央部に再定住しました。ここでは周辺部族に対し優位な地位を確立し、フランスの支援も得ました。また、かつての同盟部族であるフォックス族の一部を破ることもありました。

18世紀後半から19世紀にかけて白人入植者の圧力が増すと、キカプー族はこの新たな挑戦に対し、対応の異なる三つの主要なグループへと分裂しました。一つは南西へ移動し、直接的な衝突を避ける道を選んだグループ。もう一つはワバッシュ地域にとどまり、著名な指導者テカムセやブラックホークらと共に抵抗運動に参加したグループです。しかし、これらの抵抗者は、1820年と1834年にミズーリ州へ強制的に移住させられました。第三のグループは預言者ケンネクに率いられ、侵略に対して比較的穏やかな抵抗を試みましたが、最終的にカンザス東部の土地を譲渡し、一部の人々はポタワトミ族と合流しました。ミズーリへ移ったグループはオーセージ族をはじめとする他の部族との紛争が多く、これがさらなる分裂を招く一因となりました。

その後、多くのグループが現在のオクラホマ州へ移動しましたが、一部はメキシコ領であった現在のテキサス州へ向かい、ミズーリ州から事実上撤退しました。米墨戦争終結後、テキサス州にいたキカプー族は再び分散し、メキシコのコアウイラ州やテキサス州イーグルパス周辺に分かれました。1850年頃からはオクラホマやカンザスからコアウイラへの大きな移住が続き、1857年や1863年にもメキシコへの移動がありました。1870年代後半、メキシコからの国境を越えた襲撃事件を理由に、合衆国政府はコアウイラにいるキカプー族の強制送還方針を打ち出し、これが実行されました。これにより、キカプー族はコアウイラ、イーグルパス、アリゾナ、オクラホマ、カンザスと広範囲に分散することになりました。

現在のキカプー族

現在、アメリカ合衆国にはカンザス州、オクラホマ州、そしてテキサス州の三つの連邦政府から公式に認定されたキカプー族の部族が存在します。さらに、メキシコのコアウイラ州にも大きなグループがあり、アリゾナ州にも連邦政府の認定を求めているかなりの規模の集団が存在します。アメリカ西部全域にも小さなキカプー族のコミュニティが点在しており、全体でおよそ3,000人以上の人々がキカプー族として自己を認識しています。

テキサス州のキカプー伝統部族は、メキシコ・コアウイラ州に住むグループの存在のため、長らく連邦政府の認定を得られませんでしたが、1983年に初めて認定されました。今日、テキサス州の部族はイーグルパスにおいて「ラッキーイーグル（Lucky Eagle）」カジノを所有し、運営することで経済的基盤を築いています。

およそ250年にわたる白人による同化政策や悲劇的な出来事を経験しながらも、キカプー族は現代に存続しています。特にオクラホマ、テキサス、そしてコアウイラのグループは、最も伝統的な生活様式と文化を維持しているインディアン民族の一つと考えられています。さらに、キカプー族は、かつて東部五大湖地域を故郷とした部族の中で、数少ない連邦政府に認定されている部族です。かつて多くの隣接部族が他の部族に吸収されるか、絶滅してしまった中で、キカプー族が生き残った事実は、彼らの文化的な強靭さと適応力の証と言えるでしょう。

保留地（Reservation）

カンザス州

カンザス州のキカプー族保留地は、州の北東部に位置し、主にブラウン郡、ジャクソン郡、アッチソン郡にまたがっています。2000年の国勢調査によると、保留地の総面積は612.203平方キロメートル（約236.373平方マイル）で、居住人口は4,419人でした。保留地内で最大のコミュニティは、ホートン市にあります。

テキサス州

テキサス州のキカプー族保留地は、マーヴェリック郡西部の、メキシコ国境に沿ったリオグランデ川流域に位置しています。イーグルパス市のすぐ南にあり、ロジタサウスというコミュニティの一部となっています。2000年の国勢調査時点での保留地の総面積は0.4799平方キロメートル（約118.6エーカー）と小規模で、居住人口は420人でした。

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