キスム

ケニア西部の要衝、キスム

キスムは、ケニア西部に位置するニャンザ州の州都であり、キスム県の県庁所在地です。2019年の人口は約39万人を数え、ケニア西部における経済・文化の中心地として重要な役割を担っています。ビクトリア湖の北東部、カビロンド湾の奥に位置する港湾都市であり、大ビクトリア湖盆地内ではカンパラに次ぐ主要都市として知られています。標高約1170mの場所に位置し、この地域にはルオ族が多く居住しています。

かつてはポート・フローレンスという名で知られていましたが、その歴史は1901年にウガンダ鉄道が開通したことに始まります。ナイロビを経由し、モンバサと結ぶこの鉄道の開通に伴い、キスムは港町として発展し、ポート・フローレンス（フローレンス港）と名付けられました。1980年代から1990年代にかけては貿易が停滞しましたが、ウガンダへの石油輸出が開始されたことで、再び活気を取り戻しました。ケニアは石油を産出しないため、モンバサで輸入した原油を精製し、パイプラインを通じてナイロビなどに輸送しています。キスムからウガンダへの輸送は、主にトラックが利用されています。

「キスム」という地名は、「交易（スモ）する場」を意味するとされています。また、ルオ語の「Jo-kisuma（援助物資に依存する人々）」に由来するという説もあります。この地名の由来からも、キスムが歴史的に交易や人々の交流の拠点であったことが伺えます。

国際的な交流も盛んで、イギリスのチェルトナム市と友好都市関係にあり、アメリカのロアノーク市とボルダ―市とは姉妹都市関係を結んでいます。また、キスム国際空港が設置されており、国内外へのアクセスも良好です。

文化と歴史を彩る人々

キスムは、様々な分野で活躍する人々を輩出してきました。その一部を以下に紹介します。

トマス・アカレ: 1950年生まれの作家。ルオ族出身で、代表作に「スラム」があります。キスムの地で育まれた彼の作品は、地域の人々の生活や文化を深く反映しています。
ジャラモギ・オギンガ・オディンガ: 1911年から1994年まで生きた政治家。ケニア共和国の初代副大統領を務めました。ニャンザ州ボンド出身で、ケニアの独立運動に尽力した人物として知られています。
* ライラ・オディンガ: 1945年生まれの政治家。ジャラモギ・オギンガ・オディンガの息子であり、第2代ケニア共和国首相を務めました。父の遺志を継ぎ、ケニアの民主化と発展に貢献しています。

キスムは、歴史と文化が豊かな都市であり、経済的な重要性も増しています。これらの情報を通して、キスムの多面的な魅力を感じていただければ幸いです。

もう一度検索