ジャラモギ・オギンガ・オディンガ

ジャラモギ・オギンガ・オディンガ：ケニア独立の立役者、不屈の野党指導者

ジャラモギ・オギンガ・オディンガ（1911年 - 1994年1月20日）は、ケニアの政治史において重要な役割を果たした人物です。ルオ族出身であり、ケニア共和国の初代副大統領を務めました。しかし、その政治キャリアは、独立運動への参加から、一貫して野党指導者としての活動へと続いています。息子のライラ・オディンガは、後にケニアの首相を務めました。

生い立ちと独立運動への参加

オディンガは、ニャンザ州のボンドで生まれ、1940年にマケレレ大学を卒業しました。当初は高校教師として教鞭を執っていましたが、ジョモ・ケニヤッタやトム・ムボヤといった指導者たちと出会い、ケニアの独立運動に身を投じることになります。1960年には、ケニア・アフリカ民族同盟（KANU）の結党に参画し、副総裁に就任しました。そして、1964年のケニア独立時には、初代副大統領という要職に就任しました。

ケニヤッタ大統領との対立と野党としての活動

しかし、オディンガの政治的な道のりは、順風満帆とは言えませんでした。独立後、白人入植者の土地分配政策を巡り、ジョモ・ケニヤッタ大統領と深刻な対立を深めることになります。1966年、オディンガはKANUを離党し、ケニア人民同盟（KPU）を結党しました。しかし、KPUは政府からの激しい弾圧を受け、1969年の一党制施行によって非合法化され、オディンガ自身も逮捕されるという苦難を経験しました。その後も、1982年にはダニエル・アラップ・モイ大統領によって再び逮捕されるなど、厳しい状況が続きました。

民主化運動と複数政党制の導入

1990年、オディンガは非合法野党として民主主義回復フォーラム（FORD）を結成し、反体制運動を精力的に展開しました。彼は、同じルオ族出身のトム・ムボヤとともに、ルオ族の人々からの絶大な支持を集める存在でした。1969年のムボヤ暗殺後は、ルオ族の圧倒的な支持を一身に受けることになります。1992年、ケニアに複数政党制が導入されると、オディンガは野党の長老政治家として政界に復帰しました。しかし、FORDは路線対立から、オディンガ派の民主主義回復フォーラム・ケニア（FORD・ケニア）党と、ケネス・マティバ派の民主主義回復フォーラム・アシリ（FORD・アシリ）党に分裂してしまい、その後の選挙では与党の勝利を許す結果となりました。それでも、FORD・ケニア党は野党第一党としての地位を確立しました。

その死と遺産

1994年1月20日、ジャラモギ・オギンガ・オディンガは波乱に満ちた生涯を閉じました。彼の死後も、その政治的な遺産は息子のライラ・オディンガへと受け継がれ、ケニアの政治に大きな影響を与え続けています。オディンガは、ケニア独立の立役者であるとともに、不屈の精神で権力に立ち向かった野党指導者として、ケニアの歴史にその名を刻んでいます。

ジャラモギ・オギンガ・オディンガ財団
ペンシルベニア大学アフリカ研究センター

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