キス・アンド・クライ

キス・アンド・クライとは

フィギュアスケート競技会において、選手とコーチが競技終了後、採点結果の発表を待つために設けられた特別な待機スペースを「キス・アンド・クライ（Kiss and Cry）」と呼びます。しばしば「キスクラ」と略されます。この場所は、選手たちが良い演技を終えた際には喜びを分かち合い、時に失望の涙を流す場となるため、この名前が付けられました。

概要

キス・アンド・クライは、通常、スケートリンクの端や角に位置しています。そこには、選手とコーチが採点結果を確認するためのモニターが設置されており、ベンチや椅子が用意されています。また、テレビ中継や報道機関による写真撮影のため、花などで華やかに装飾されていることが多いです。

この場所が「キス・アンド・クライ」と名付けられたのは、1983年にフィンランドのヘルシンキで開催された世界フィギュアスケート選手権がきっかけでした。当時、大会組織委員であったジェーン・エルコが、テレビ局の技術者からこの場所の名称を尋ねられた際に、とっさに「キス・アンド・クライ」と名付けたとされています。

オリンピックでは、1984年のサラエボオリンピックで公式の待機場所として初めて登場しました。1990年代初めからは、「キス・アンド・クライ」という言葉が広く使われるようになり、国際スケート連盟の規則でも正式な用語として採用されています。アメリカをはじめとする各国のスケート連盟は、この場所での選手の振る舞いについて指導を行っています。

フィギュアスケート以外での使用例

「キス・アンド・クライ」という言葉は、フィギュアスケート以外にも、いくつかの体操競技で使用されることがあります。また、東京2020オリンピック・パラリンピック大会では、馬術競技など、多くの競技会場でこの呼称が用いられました。

キス・アンド・クライは、選手たちの感情が最も顕著に表れる場所の一つです。観客は、選手たちが喜びや悲しみを分かち合う姿を通して、競技の感動をより深く感じることができます。このスペースは、競技の結果だけでなく、選手たちの人間ドラマを映し出す特別な場所として、フィギュアスケートやその他のスポーツにおいて重要な役割を果たしています。

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