キタナキウサギ

キタナキウサギ（北鳴兎）

キタナキウサギ（学名：Ochotona hyperborea）は、ウサギ目ナキウサギ科に属する哺乳類の一種で、アジア北部に広く分布しています。その生息範囲は、ロシアのウラル山脈からサハリン、そして日本の北海道にまで及び、モンゴル、中国東北部、朝鮮半島北部にも分布しています。

分布と亜種

日本では、亜種であるエゾナキウサギ（Ochotona hyperborea yesoensis）が、北海道の中央山地部や日高山脈沿いに生息しています。キタナキウサギは地域によって遺伝的な差異が認められており、いくつかの亜種に分類されています。

代表的な亜種は以下の通りです。

Ochotona hyperborea cinereoflava
Ochotona hyperborea coreana
Ochotona hyperborea ferruginea
Ochotona hyperborea hyperborea
Ochotona hyperborea mantchurica
Ochotona hyperborea normalis
Ochotona hyperborea uralesis
エゾナキウサギ (Ochotona hyperborea yesoensis)
Ochotona hyperborea yoshikurai

なお、O. h. mantchurica については、独立種 O. mantchurica として分類するべきだという研究も存在します。

形態

キタナキウサギの成獣は、体長が12.7cmから18.6cm程度、尾長は0.5cmから1.2cm程度です。体毛は年に2回生え変わり、夏毛は赤褐色、冬毛は灰褐色をしています。この体毛の変化は、周囲の環境に溶け込むための保護色としての役割を果たしていると考えられています。

生態

キタナキウサギは、主に森林地帯や岩場などに生息し、草や木の葉、種子などを食べて生活しています。冬眠はせず、一年を通して活動します。また、特徴的な高い鳴き声を発することで知られており、この鳴き声が名前の由来となっています。岩の隙間や地面に掘った巣穴を生活の拠点としており、繁殖期にはこれらの巣穴で子育てを行います。

人間との関わり

キタナキウサギは、その可愛らしい外見から、一部地域では観光資源としても活用されています。しかし、生息地の破壊や気候変動などにより、個体数が減少している地域もあり、保護対策が求められています。

関連項目

エゾナキウサギ
* 日本の哺乳類一覧

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