キッズドーム ソライ

キッズドーム ソライ

山形県鶴岡市のサイエンスパーク内に位置する「キッズドーム ソライ」（KIDS DOME SORAI）は、0歳から12歳までの子どもたちとその保護者を対象とした、先進的な子育て支援施設です。ショウナイホテル スイデンテラスなども手掛けるヤマガタデザイン株式会社が建設・運営を担い、2018年11月1日に開館しました。

施設設計とコンセプト

施設の設計は、国際的な評価も高い建築家の坂茂氏が手掛けました。建物は、山形県産の杉材や唐松材をふんだんに使用した、温かみのある木造のドーム状大屋根が特徴です。この構造により、天候に左右されることなく一年中快適に利用できる全天候型の屋内空間が実現されています。

ドーム内部には、子どもたちの多様な遊びや学びに対応するため、「アソビバ」と「ツクルバ」という二つの主要な空間が設けられています。「アソビバ」では、体を思いきり動かせる大型遊具やクライミングウォールなど、自由な遊びを通じて体力やバランス感覚を養うことができます。一方、「ツクルバ」は、工作や美術活動、プログラミングなど、創造力や探求心を刺激する体験を提供します。これらの空間設計は、子どもたちが自ら考え、試し、表現する力を育むことを目指しています。

建設には総額約12億円が投じられ、そのうち1億円は鶴岡市からの補助金が充てられています。これは、本施設が地域における子育て支援や子どもたちの健全な育成に寄与する公共性の高い取り組みであるという位置づけを示すものです。

利用料金と運営を巡る議論

開館当初、キッズドーム ソライの利用料金は、市内に存在する他の公費で運営される無料施設と比較して割高な設定となっていました。具体的には、市内在住の3歳以上の子どもが1回利用するごとに1,500円、月額会員の場合は3,500円が必要でした。

この料金設定が影響し、開館から1年間の利用者数は延べ約8万5千人にとどまり、特に鶴岡市民の利用者は約4万1千人と、想定よりも伸び悩む状況が見られました。施設の利用促進と運営の安定化を図るため、運営元のヤマガタデザインは、2019年10月30日に鶴岡市に対して、施設運営における官民連携の強化と利用助成などの支援を求める要望書を提出しました。

これを受けて鶴岡市は、2020年度から最大3,500万円の公費を投入し、市民の利用料金を支援する案を検討しました。しかし、同年12月に開催された市議会定例会において、一部議員から「民間企業の赤字を公費で補填するのは不適切ではないか」「企業の救済措置に当たる」といった厳しい指摘が相次ぎ、市の検討していた公費投入による利用助成案は実現が困難となりました。

市議会での議論とその結果を踏まえ、運営会社のヤマガタデザインは、2020年1月30日に鶴岡市からの利用助成が見送られる方針を確認し、代わりに自社の判断で利用料金の値下げを検討することを発表しました。利用者がより利用しやすくなる料金体系を目指し、同年4月を目処に具体的な結論を出す方針が示されました。

サービス拡充と沿革

キッズドーム ソライは、開館以降も提供するサービスを拡充しています。2020年4月からは、地域のニーズに応える形で学童保育の提供を開始しました。さらに、2022年5月には子ども向けの学びの場である「SORAI SCHOOL」を開校し、同月にはテクノロジー教育プログラム「SORAI TECHACADEMY」のサービスも開始しました。同年11月には「SORAI SCHOOL ロボコン部」が活動を始めるなど、遊びの場だけでなく、多様な学びの機会を提供する複合的な子ども支援施設へと進化を続けています。

本施設の主な沿革は以下の通りです。

2017年（平成29年）8月31日 - 建設工事に着工。
2018年（平成30年）11月1日 - グランドオープン。
2020年（令和2年）4月 - 学童保育サービスを開始。
2022年（令和4年）5月 - SORAI SCHOOLを開校、SORAI TECHACADEMYサービス開始。
* 2022年（令和4年）11月 - SORAI SCHOOLロボコン部が活動を開始。

キッズドーム ソライは、建築の美しさと機能性を兼ね備えたユニークな空間で、子どもたちが心身ともに豊かに育つための多角的な支援を提供し続けています。

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