キドカラー

キドカラーの歴史と特徴

キドカラーは、1970年代に日立製作所が製造したカラーテレビの商標であり、愛称でもあります。その歴史は1968年に遡り、カラーテレビの発売時に独自の名称が付けられました。この名称は、「輝度」と「希土」からの造語であり、特に赤色の発色が優れていることが特徴とされていました。カラーテレビの輝度を高めるために、ユウロピウムやテルビウムといった希土類元素がブラウン管内の蛍光体材料として使用されていました。

画期的なプロモーション

キドカラーは、革新的なプロモーション活動も行われました。特に注目すべきは、第二次大戦後の日本で初の民間飛行船「キドカラー号」を使用した宣伝です。この飛行船には、商品名と日立のロゴが大きく描かれ、飛行船からは『日立キドカラーの歌』というCMソングが流れて、日本中を移動するという当時としては画期的な広告手法でした。

発売後、テレビの技術革新に伴い、真空管からトランジスタへの移行が進み、新たに「ポンパ」君というキャラクターが登場しました。この名前は、電源スイッチを“ポン”と入れるとすぐに“パッ”と映ることに由来しています。1970年から1971年にかけて実施された宣伝列車「日立ポンパ号」は、全国約2万キロを巡回し、カラフルなデザインの客車内部で日立の製品のデモが行われました。このプロモーションは全国各地、特にイベントが少ない地域で多くの話題を集めました。

有名人の起用とCM

1970年代後半には、有名なスポーツ選手である王貞治がCMキャラクターとして起用されました。王は1977年に本塁打の世界記録を達成した時期であり、彼が登場する「日立キドカラー 技」のCMは多くの人々に印象を残しました。さらに音声多重が可能なキドカラーも登場し、王とチャウチャウ犬が出演するCMも制作されました。また、日立は歌謡番組『ザ・ベストテン』のスポンサーを務めており、これと「コンピューター キドカラー」のコラボCMも放送されました。

OEM供給と商標権

1990年代に入ると、「キドカラー」という名称は次第に使われなくなりますが、日立は日本コロムビアにOEM供給を行い、「トランパ」や「ファインカラー」シリーズとして販売されていました。ただし、これらの商品の中には、DENONブランドとしてのみ販売された大型テレビも含まれていました。同じ日立グループの日立電子も業務向けのカラーモニターをOEM供給していました。

商標権については、2013年の時点で日立製作所がキドカラー及びポンパの商標権を保持しています。一方で、日立は2018年にカラーテレビ市場から撤退しました。

まとめ

このように、キドカラーは単なるカラーテレビの商品名にとどまらず、独自のマーケティングや多方面での展開が行われた製品でした。飛行船や有名人の起用、さらには全国を巡る宣伝列車といった斬新なプロモーション手法が話題を呼び、当時の家庭での存在感を高めました。

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