ユウロピウム

ユウロピウム

ユウロピウム（英: europium）は、原子番号63を持つ元素で、元素記号はEuです。この元素は希土類元素に分類され、特にランタノイドの一種として知られています。ユウロピウムの名前は、ヨーロッパの地名に由来しています。

性質

ユウロピウムは銀白色の金属で、その特性として非常に柔らかく、ナイフで簡単に切ることが可能です。常温および常圧下でも安定した結晶構造を持ち、体心立方構造（BCC）を形成します。比重は5.24、水洗時の融点は約822°C、沸点は1527°Cと報告されています。ただし、これらの値は実験によって異なる場合があります。希土類元素の中でもユウロピウムは反応性が高く、単体の状態では空気中で迅速に酸化が進行します。また、水に対する反応性はカルシウムと同程度であり、熱水や酸に対しては容易に溶解します。液体アンモニアに溶けることも特徴の一つです。さらに、ハロゲン元素と反応し、三価のハロゲン化物を生成します。

原子価と化合物の特性

[ユウロピウム]]の原子価は主に+2および+3の二つがありますが、一般的には+3の状態がより安定です。無色の2価イオンは水溶液中で酸化されやすい性質があり、淡桃色の3価イオンへと変化します。標準酸化還元電位は-0.35Vとして記録されています。希土類元素の中で最も安定した2価の状態を持つユウロピウムの化合物、硫酸ユウロピウム]（EuSO4）は水にあまり溶けません。また、[[ユウロピウムは自然界では主に斜長石などのアルカリ土類金属を含む鉱物に存在し、モナズ石などの一般的な希土類鉱物においてはその含有率が非常に低くなっています。これは「ユウロピウム異常」とも呼ばれています。

ユウロピウムの発光特性に関しては、+3価が赤色を示すのに対し、+2価は環境によって青、緑、黄と色を変える性質を持っています。

用途

[ユウロピウム]]の用途は多岐にわたり、特にカルコゲン化ユウロピウムは重要な磁性半導体材料とされています。カルコゲンとは第16族元素、具体的には硫黄やセレンのことであり、これは高い機能性を持っています。また、酸化イットリウム]（Y2O3）に[酸化ユウロピウム]（Eu2O3）を添加した基材は、[[ブラウン管カラーテレビや蛍光灯の蛍光体として広く利用されています。さらに、青色発光ダイオードが実現される前、ユウロピウムドープのαサイアロンは青色の補色である黄色―琥珀色蛍光体として活用されていました。

歴史

ユウロピウムは1896年にウジェーヌ・ドマルセー（E.A. Demarçay）によって発見され、1901年に純粋な形で単離されることに成功しました。

ユウロピウムの化合物

ユウロピウムには、+2価および+3価の化合物が存在します。次に、その一部を挙げます：

• - [酸]]化ユウロピウム]（EuO）
• - [酸化ユウロピウム]（Eu2O3）
• - 塩化[ユウロピウム]（EuCl2）
• - 硫化[ユウロピウム]（EuS）
• - [セレン化ユウロピウム]（EuSe）
• - [テルル化ユウロピウム]（EuTe）
• - オキシ塩化[ユウロピウム（EuOCl）
• - 硫酸ユウロピウム]（Eu2S3O12）
• - 硝[酸ユウロピウム]（EuN3O9）
• - 酢[酸[[ユウロピウム]（EuC6H9O6）

同位体

ユウロピウムの安定した同位体は153Euのみですが、151Euは長い半減期を持つため、地球上でも比較的まとまった量が存在しています。ユウロピウムはその特異な性質と多様な用途から、現代の科学技術において重要な元素の一つとされています。

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