キナタイ マニラ・アンダーグラウンド

キナタイ マニラ・アンダーグラウンド

『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』は、フィリピンとフランスの共同制作によるドラマ映画で、監督はブリランテ・メンドーサが務めました。本作は、恋人や赤ん坊を守るために犯罪の道に踏み込む警察学校の学生の物語を描いています。この作品名「Kinatay」はフィリピン語で「屠殺」を意味し、非常に衝撃的なテーマを持ちます。

映画の内容

物語は、主役のペピン（ココ・マルティン）を中心に進行し、彼は恋人や赤ん坊を養うために危険な選択をします。娼婦を通じて依頼された殺人を冒したり、遺体の切断といった残酷なシーンが描かれているため、フィリピン国内では商業的に上映することができない状況になっています。残虐な描写とともに、構成や演出にはメンドーサ監督特有の独自のスタイルが感じられ、観客を強く引き付ける力を持っています。

出演者と製作背景

映画のキャストには、ココ・マルティン（ペピン役）、ジョン・レガラ（サルジェ役）、マリア・イサベル・ロペス（マドンナ/ジーナ役）、ジュリオ・ディアス（ビック/カップ役）、ジョン・イラリオ（アビョン役）、メルセデス・カブラル（セシル役）などの才能あふれる俳優が名を連ねています。

2000年代前半、フィリピン映画の製作本数は著しく減少し、業界は危機的な状況に陥りました。しかし、2005年に始まったシネマラヤ・インディペンデント映画祭は、新たな作品を発掘するための一助となり、独立系作品の制作が増えていきました。この映画祭を契機に、国際的な評価を受けたのがメンドーサ監督です。彼の作品『Serbis』は2008年にカンヌ国際映画祭にて正式出品されており、本作『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』はその後の作品として位置付けられています。また、メンドーサ監督はこの映画が実話を元に制作されたと語っています。

公開と受賞歴

本作は、2009年5月17日に第62回カンヌ国際映画祭でプレミア上映され、そこでメンドーサ監督は監督賞を受賞しました。これはフィリピン映画にとって初の監督賞受賞でした。その後、フィリピン国内でも2009年9月23日に劇場公開され、さらに日本では熱帯美術館が配給し、2011年に「三大映画祭週間」の一環として上映されることとなりました。

評価と批評

『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』に対する評価は多岐にわたります。映画レビューサイトのRotten Tomatoesでは71%の支持を受け、スコアは10点満点中5.9点となっています。ドイツの映画サイトKino Zeitでは、カトリン・クナウトが「残虐な場面はあれど、非常に引き付けられる力強い映画」と評価しています。一方、シカゴ・サンタイムズの映画評論家ロジャー・イーバートは本作を批判し、カンヌ国際映画祭史上最低の作品との評価を下しています。

以上のように、『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』はそのテーマや描写、さらには評判など、多くの要素を抱えた作品です。映画そのものが持つメッセージや影響力は、観る者に強い印象を与えています。

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