ロジャー・イーバート

ロジャー・ジョゼフ・イーバートの生涯と業績

ロジャー・イーバート（1942年6月18日 - 2013年4月4日）は、アメリカの映画批評界において最も有名で信頼された顔として知られています。彼はただの映画評論家にとどまらず、テレビ司会者や作家としても活躍し、豊富なメディアを通じて映画に情熱を注ぎました。イーバートは、1967年から映画評を執筆し始め、その後は千以上の檀上で映画の魅力と問題点を探求し続けました。特に、ピューリッツァー賞を受賞するなどその業績は評価され、シカゴ・サンタイムズでの連載やテレビ番組での映画分析は多くの人々に影響を与えています。

映画評論の魅力とテレビでの活躍

イーバートは、1975年に映画評論家として初めてピューリッツァー賞を受賞し、「スニーク・プレビューズ」や後の「シスケル＆イーバート」などのテレビ番組で視聴者を惹きつけました。彼とジーン・シスケルが新作映画をレビューし合い、記憶に残るコーナー「ドッグ・オブ・ザ・ウィーク」では、その週最低の映画をひねりの効いたユーモアで評論していました。観客は彼らの真剣な議論とコミカルなやり取りを楽しみ、多くの映画が彼らの評価によって観客動員数に大きな影響を受けました。

映画への思いと批評のスタイル

イーバートは、映画批評そのものに対して独自のアプローチを持っていました。彼は映画評を書く際、主観的に作品を見つめる一方で、そのコンテクストにおける映画の位置付けや社会的メッセージに関しても綿密に考察しました。そのため、彼の評価は単なる星の数にとどまらず、批評の内容と矛盾する場合も少なくありません。特に、映画が持つ政治的スタンスや社会的な視点を鋭く指摘し、批評の対象としての映画の意味を問い直す姿勢は、多くの映画愛好者から共感を呼んでいました。

私生活と個人的な情熱

イーバートは自身の私生活では、弁護士と結婚し、娘を迎えるなど家庭を大切にしていました。また、シカゴ大学では客員教授として映画について教えるなど、次世代の育成にも尽力しました。民主党を支持し、政治的問題に関しても積極的に発言を行っていた彼は、映画を超えた広範な視野を持っていました。

健康との戦いと影響

2002年と2006年にがんと診断され、闘病生活を余儀なくされたイーバートは、最終的に言葉を失ってしまいました。しかし、その後も彼はコンピュータを使ってスピーチを行い、多くの人々に感動を与えました。彼の映画に対する愛情は死ぬまで消えることはなく、作品や活動を通じて多くのファンに深い感動を与え続けました。

著書とその影響

イーバートは毎年、映画評やエッセイをまとめた「ロジャー・イーバートの映画年鑑」を出版し、40年にわたる活動から選りすぐりの作品を紹介しています。彼の著作は単なる評論にとどまらず、映画を愛する全ての人々へのメッセージが込められています。

ロジャー・イーバートは、その多才な才能と鋭い分析力によって、映画批評の枠を超えた影響を持つ存在でした。彼の言葉や作品は、今もなお映画ファンの心に深く刻まれています。

もう一度検索