キヌタソウ

キヌタソウ（砧草）

キヌタソウ（学名：Galium kinuta）は、アカネ科ヤエムグラ属に分類される多年草の一種です。日本をはじめ、東アジアに分布し、山地の林縁などで見られます。

特徴

キヌタソウは、以下の特徴を持ちます。

根: 黄赤色で、ひげ状に広がります。
茎: あまり枝分かれせず、直立して30-60cmの高さに成長し、無毛です。
葉: 4枚の葉が輪生し、茎に間隔を置いて付きます。葉は披針形または卵形で、長さ2-8cm、幅0.8-2.5cm。縁には上向きの短毛が生えています。葉脈は3本が目立ちます。
花: 7-9月に開花し、茎の上部に円錐状の集散花序を形成し、多数の白色の花をつけます。花冠は杯形で、径約2.5mm。
果実: 球形の分果で、表面は平滑で毛がありません。

分布と生育環境

キヌタソウは、日本では本州、四国、九州に分布し、山地の林縁に生育します。国外では、中国大陸に分布しています。

名前の由来

和名の「キヌタソウ」は、果実の形が布を叩くための道具である「砧（きぬた）」に似ていることに由来します。

学名の変遷

キヌタソウの学名は、複雑な変遷を辿っています。

1. 当初はGalium boreale var. japonicum Maxim.として、エゾキヌタソウの変種とされていました。
2. その後、Galium japonicum (Maxim.) Makino et Nakaiとして独立種となりました。
3. しかし、Galium japonicum Makino (1903)がクルマムグラに適用されていたため、混乱を避けるためにGalium kinuta Nakai et H.Hara (1933)に改名されました。

下位分類

キヌタソウには、以下の品種が知られています。

オトギリキヌタソウ (Galium kinuta f. bracteatum): 苞葉を持つ品種。
バライロキヌタソウ (Galium kinuta f. roseum): バラ色の花を咲かせる品種。
アオキヌタソウ (Galium kinuta f. viridescens): 緑色を帯びる品種。

キヌタソウは、その繊細な姿と独特な名前の由来を持つ、興味深い植物です。山歩きの際には、ぜひ探してみてください。

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