ヤエムグラ属

ヤエムグラ属（Galium）

ヤエムグラ属は、アカネ科に属する植物のグループで、学名は Galium といいます。世界中に約400種が存在し、日本には21種が自生し、数種の帰化植物も確認されています。

特徴

ヤエムグラ属の植物は、草本であり、一年草、越年草、または多年草として生育します。茎は直立、斜上、またはつる性となり、断面は四角形をしています。葉は、一見すると輪生しているように見えますが、実際には対生する2枚の葉と、葉と同形の托葉が2～8枚輪生状に並んだものです。

花序は散集花序で、茎の先端や葉の付け根から出て、多数の花をつけます。萼は鐘形で、萼裂片はほとんどありません。花冠は通常、杯形で4つに裂けていますが、まれに3裂するものもあります。子房は2室に分かれており、各室に1つの胚珠があります。花柱の先は短く2裂し、雄しべは通常4本です。果実は、2つの分果からなり、表面は滑らかなもの、ざらざらしたもの、鉤状の毛が密生したものなど、種類によって異なります。

分類

ヤエムグラ属は、アカネ連の中で側系統群を形成しており、将来的に属の範囲が大きく変更される可能性があります。

分布

ヤエムグラ属の植物は、世界中に広く分布しており、日本には以下の種が分布しています。

日本に分布する主な種

エゾキヌタソウ (Galium boreale var. kamtschaticum)：北海道などに分布。絶滅危惧II類(VU)。
ヒメヨツバムグラ (Galium gracilens)：本州、四国、九州に分布。
クルマムグラ (Galium japonicum)：北海道、本州、四国、九州に分布。
オオバノヨツバムグラ (Galium kamtschaticum var. acutifolium)：北海道、本州、四国に分布。
キクムグラ (Galium kikumugura)：日本固有種で、北海道、本州、四国、九州に分布。
キヌタソウ (Galium kinuta)：本州、四国、九州に分布。
エゾムグラ (Galium manshuricum)：北海道東部に分布。絶滅危惧II類(VU)。
クルマバソウ (Galium odoratum)：北海道、本州に分布。
ミヤマムグラ (Galium paradoxum subsp. franchetianum)：北海道、本州、四国、九州に分布。
ヤマムグラ (Galium pogonanthum)：本州、四国、九州に分布。
オオバノヤエムグラ (Galium pseudoasprellum)：北海道、本州、四国、九州に分布。
ウスユキムグラ (Galium shikokianum)：日本固有種で、本州、四国、九州に分布。
ヤエムグラ (Galium spurium var. echinospermon)：北海道、本州、四国、九州、琉球に分布。
ハナムグラ (Galium tokyoense)：東北地方南部、関東地方、中部地方に分布。絶滅危惧II類(VU)。
ヨツバムグラ (Galium trachyspermum)：北海道、本州、四国、九州に分布。
ホソバノヨツバムグラ (Galium trifidum subsp. columbianum)：北海道、本州、四国、九州に分布。
オククルマムグラ (Galium trifloriforme)：北海道、本州、四国、九州に分布。
ヤツガタケムグラ (Galium triflorum)：本州中部の八ヶ岳に分布。絶滅危惧IA類(CR)。
キバナカワラマツバ (Galium verum subsp. asiaticum)：北海道、本州、四国、九州に分布。

日本における帰化種

シラホシムグラ (Galium aparine)：ヨーロッパ原産。
コメツブヤエムグラ (Galium divaricatum)：ヨーロッパ原産。
トゲナシムグラ (Galium mollugo)：ヨーロッパ原産。
トゲナシヤエムグラ (Galium spurium var. spurium)：ユーラシア大陸原産。
ミナトムグラ (Galium tricornutum)：ヨーロッパ原産。

学名の由来

属名 Galium は、ギリシャ語の "galion" に由来し、"gala"（乳）を意味します。これは、カワラマツバが牛乳を凝固させてチーズを作る際に使用されたことにちなんでいます。

参考文献

清水建美『日本の帰化植物』、2003年、平凡社
加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編著『日本帰化植物写真図鑑』、2011年、全国農村教育協会
門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花（増補改訂新版）』、2013年、山と溪谷社
植村修二他編著『増補改訂 日本帰化植物写真図鑑 第2巻』、2015年、全国農村教育協会
大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 4』、2017年、平凡社
牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名－学名インデックス」（YList）
Tropicos
山崎敬「アジア産ヤエムグラ属数種の分類学的検討」『植物研究雑誌』第66巻第1号、津村研究所、1991年2月、49-52頁
* 村田源「植物分類雑記21」『植物分類，地理』第43巻第2号、1992年、147-153頁

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