キネマ倶楽部

キネマ倶楽部について

キネマ倶楽部は、1987年に設立された日本のビデオソフト販売機構です。主に東宝、日活、大映、国際放映の4社が共同で出資し、旧作映画の普及を目的として活動を開始しました。設立当初から、特に未ソフト化作品に焦点を当て、多くの作品を「日本映画傑作全集」というシリーズで提供しました。

設立の背景

キネマ倶楽部は、1980年代中盤に日本の映画業界において旧作の市場回復の動きがあったことを受けて設立されました。多くの名作が映像化されることなく埋もれていたため、これらの貴重な作品を提供しようという専門的な取り組みが求められていました。ただし、東映や松竹は自社の作品を独自に取り扱う姿勢を堅持し、結果的に参加しなかったため、限られた4社の共同機構に基づく活動となりました。

活動の内容

キネマ倶楽部は、戦前・戦後の名作を中心に多くの映画を販売しました。特に、黒澤明監督や石原裕次郎主演の盛況なリリースが見られ、当時は顕著に高い人気を誇りました。しかし、商品の価格が比較的高額であったため、経済的な障壁も見られました。以降、単品販売を行わず、初回購入の条件が厳しかったことで、特定の作品を希望する会員が容易に購入することができない状況が続いていました。

会員の拡大と活動の最盛期

しかしながら、キネマ倶楽部は、最大時に1万人以上の会員を数えるまでに成長し、会員向けの会報や上映会、親睦会を開催するなど、映画愛好家のコミュニティを育む活動を広げました。特に販売された作品は、当時の最新技術を使用して原版を修復したため、品質が高く評価されました。

市場の変化と活動の終息

2000年代に入ると、ビデオソフトの市場はDVDの登場によって大きく変わりました。また、会員の高齢化、若年層の取り込みが難しいという課題が浮上し、キネマ倶楽部は2002年に新規ソフトの製作を終了しました。活動が終わった後は、通信販売のみ行い、徐々に在庫がレンタル解禁されることとなり、かつては貴重だったソフトがレンタルビデオ店に並ぶようになりました。

著名な会員と作品

キネマ倶楽部には、著名な作曲家や作家も会員に名を連ねており、山下達郎や大滝詠一、大西巨人、倉阪鬼一郎などが支持者として活動を支えていました。リリース作品は、トーキー後の1960年代までの名作が中心であり、小津安二郎や成瀬巳喜男、黒澤明などの重要な作品が多数含まれています。特に、歴史的に視聴困難とされていた作品も多く、現在でも高い価値がつけられることがあります。また、キネマ倶楽部の作品はDVD化されているものが多いですが、元々行われた修復作業が基にされている場合も少なくありません。

このように、キネマ倶楽部は日本映画の傑作を広く一般に提供し、映画文化の発展に寄与した重要な存在でした。

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